血友病 Q&A
血友病について
Q. 血友病とはどのような病気ですか?
血友病は出血を止めるための要素のうち、一つの「凝固因子」が生まれつき欠乏しているため血がうまく固まらず出血症状が出る病気です。
血友病Aの人は、「凝固因子」の中で、第VIII因子が低下しているか欠乏しています。一方、血友病Bの人は第IX因子が低下しているか欠乏しています。
Q. 血友病はどうして起こるのですか?
血友病は、X染色体に存在する遺伝子の異常によって、凝固因子が生まれつき不足していることが原因で起こります。ごくまれに、後天的に血液凝固因子が働かなくなる場合(後天性血友病)もあります。
Q. 女性は血友病にかかりますか?
血友病は、主に男性に生じます。女性の場合は、X染色体が二つ存在するため、一方のX染色体に異常があっても通常血友病を発症しません。
また、大変まれですが、後天性血友病(後天的に血液凝固因子が働かなくなる大変まれな疾患)の場合、男性、女性いずれでも発症します。
Q. 血友病は遺伝しますか?
血友病は遺伝性の疾患であることが明らかになっています。血友病の遺伝子は女性(保因者)を通して伝えられ、男性に発症します。血友病の患者さんの7割は、血友病の保因者の母親から生まれています。しかし、残りの3割の患者さんは遺伝ではなく、遺伝子の突然変異で血友病が発症すると報告されています。
血友病の症状について
Q. 血友病にはどんな症状がありますか?
血友病の主な症状に「出血」があります。出血症状は、体の外への出血(目に見える出血・外傷出血)よりも、体の内部での出血(目に見えない出血・内出血)が多く見られます。
Q. どんな種類の出血症状がありますか?
出血したらどうすればいいですか?
血友病の出血症状は、年齢と重症度によってさまざまな部位に出血症状をきたします。
下記ページでそれぞれの出血症状と対処法をご紹介しています。
血友病の治療について
Q. どのような治療法がありますか?
血友病の足りない血液凝固因子を製剤として補充するという治療を行います。これを「補充療法」といいます。出血時に投与するだけでなく、学校の行事前などの際に事前に投与して出血を未然に防止する「予備的補充療法」、出血症状を長期間にわたって防止する「定期補充療法」などの方法があります。
いつ、どのような製剤をどのくらい投与するかは、血友病の重症度や生活スタイルなどで異なりますので、必ず医師に相談してください。
- 「ホームインフュージョン マニュアル 第四版 」2015年 福武勝幸・天野景裕、「インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン 2013年改訂版」日本血栓止血学会
Q. 治療についての考え方が知りたい
成長に従って、体重や生活のスタイル、関節の状態などに応じて凝固因子製剤の投与方法や投与量を見直す必要があるかもしれません。
インヒビターのある患者さんは、今使用している薬剤の効果が急になくなり製剤の変更が必要なこともあります。また整形外科的な治療についてもリハビリを含めて検討が必要なこともあります。インヒビターが発生するリスクはこどものときに比べて少ないですが、0ではありません。血友病以外の合併症についても検討が必要かもしれません。
日々の治療や気になることを輸注記録などに書きとめて、診察時に医師に情報を共有し、よりよい治療をめざしましょう。
輸注記録は自己注射を導入した場合につけることが血栓止血学会で推奨されています。
最近では紙の輸注記録だけでなく、携帯電話やスマートフォンでつけることができる輸注記録などのシステムが開発されています。自分にあった記録の方法を選択し適切な記録をつけていく習慣を目指しましょう。
日常生活について
Q. 普通に生活していいの?
治療の進歩により血友病患者さんの生活の質は格段に向上をしています。しかしながら、出血のリスクを回避することは大切なことであり、出血のリスクが高い格闘技などの激しいスポーツへの挑戦などは、重症度など患者さん個々の状態にもよりますので、医師に相談して判断を得てから実践しましょう。日常生活においては、出血をしたらすぐに止血をする体制を備えておけば、日常生活に大きな支障がなく生活が可能と思われます。
スポーツの種類によっても、出血のリスクが異なります。
参考冊子をご用意しています。