
「これまでで一番楽しい時期」と思っていた高校時代より、
もっともっと楽しい大学生活を送れているのは、
周囲のサポートのおかげ

高校になると、通学は自転車で、体育もみんなと一緒に行いました。クラスの誰よりも積極的に参加し、クラスマッチのサッカーの試合でヘディング(※本来は禁止と言われていた)をしたり、多少痛くても包帯を巻いて走りまわったりしていました。体型からそんなに運動が得意そうには見られなかったためか、友達から「意外と動けるな」と言われるほどでした。それくらい「運動ができること」に対して喜びを感じていました。「これまでで一番楽しい時期」と思うほど、修学旅行を含め、毎日が充実した高校生活でした。
しかし、大学に入ると高校時代よりもさらに楽しい生活が待っていて、「今こそ、これまでで一番楽しい時期」だと思っています。大学1年生の夏休みに運転免許をとって、友達とドライブに出かけたり、塾でアルバイトをして子どもたちにいろいろなことを教えたり……毎日がとても楽しく、充実しています。専攻は臨床工学科ですが、臨床工学技士と臨床検査技師の両方の免許をとり、就職活動を頑張りたいと思っています。そして、将来的には血友病に関する研究を行いたいので、大学院への進学も考えています。
もちろん、ここに至るまでに問題がなかったわけではありません。その原因は血友病という病気というよりも、「困難に立ち向かうことがあまり得意ではない」、「つい、甘えてしまう」という私の性格にあるように思います。
中学3年生の頃にはインターネットゲームのやり過ぎで夜更かしが多くなり、朝起きることができず、1カ月間不登校になったこともありました。大学受験に失敗して予備校生になった時期には、なぜか夏頃になるとやる気がなくなって、ニートのような生活を送り、結局受験に失敗するということを2回繰り返してしまい、親との関係が劣悪な状態に陥っていた時期もあります。
また自己注射も、中学生の頃には「やろう」と思えばすでに自分でできたと思いますが(実際に、何度かは自分でうまくできていたので、不安も怖さもありませんでした)、実は、「朝早く起きて、準備や後片付けをするのが面倒」という甘えた理由で、大学2年生になり親元を離れて一人暮らしを始めるまでは、親に任せきりにしていました。
振り返ればいろいろなことがありましたが、今、ここまで普通の人と同じような生活ができるようになり、高校時代よりもさらに充実した大学生活を送れているのは、主治医や病院スタッフの指導のもと、親が週2回の定期的な投与をしっかりと行ってくれたり、小中学校の時に補助の先生方に大切に見守っていただいたりなど、周りの人からの多くのサポートがあったからだと感謝しています。
一人暮らしを始めてからは、注射も2,000単位を週に2回、曜日こそ決めていないものの4日以上はあけずに、2〜3日に1回必ず行っています。その記録をノートにとるなど、自分自身で健康管理ができるようになりました。今後の課題は、志が高い割には困難に立ち向かうのが苦手な性格を直すことでしょうか……(笑)。
- 患者さんとご家族へのインタビュー
- 息子・中川勇氣さん(会社員)と母・中川美樹さん(主婦)
手術や登校拒否の経験を乗り越え、
充実した日々を送っています。 - 田中三穂さん(主婦)
私が「血友病の息子の母親」
という事実を受け入れるまで。 - 村村陽さん(看護師)
仕事もプライベートも、
思いきり楽しんで生きる - 江端隆寿さん(歯科医)
チャレンジするのは自由
やらないより、やってみてから学べばいい - 武山ユウジさんと寺本ユウスケさん(大学生)
大切な友達との出会い
ともに看護師を目指そうと決めた - 鈴木幸一さん
(デジタルコンテンツクリエイター)
大事なのは自分を信じ好きに生きていくこと - 梅原昌宏さん(薬剤師)
MBAを取得して、
いろいろなコトにチャレンジ - 野崎暢仁さん(臨床工学技士)
医療現場での仕事はハード、
でも普通のことはしたくなかった