冊子「Friends」
【血友病体験談】自分でできる?家庭治療・自己注射〜開始時期2
いつからしてる、家庭治療・自己注射【2】
自分から
子どもは15歳、中学生、部活で柔道をしています。小学5年生に移動教室があるので、4年生から始めました。導入に際しては、毎年キャンプに参加させて頂いていたので、人体の腕の模型で注射の練習をしたり、自分より年上のお兄さんが練習をしているのを観たり、注射をうったりしているのを観ていたので、自ら進んでやりたいと言ってきました。自己注射導入に関しては苦労もなかったです。が、中学生になってから、一時、邪魔くさいといって自分でうたなくなって・・・これから一生親かと思った時もありました。ただ中学2年生あたりから、また1人でうつようになりました。今では人に注射されるのは絶対に嫌だそうです。今から思うと頼ってもらえるうちが、母親としては良かったのかなと思っています。自己注射のきっかけとしては5、6年生の移動教室があるからと誘ってみるのがいいのかなと思います。 母(15歳のお子さん)
泣くのは仕方ない
小さい頃はとにかく泣くのは仕方がない。注射について(うてば痛くなくなることが)分かってくれば、子どもなりに泣かないで我慢して、腕を出すようになる。 母(12歳のお子さん)
前々から説得
受験勉強に日々奮闘中の息子は11歳です。自己注射をはじめたのは9歳頃で、意外とすんなりできた印象があります。自分で注射する方が、親がするより失敗が少ないようで、親の手を煩わせることはほとんどありません。ただ輸注の日程管理が全然できず、親が毎回声を掛けるありさまです。来年、中学生になったら自分で管理させたいと思っています。もうひとつの問題は寝起きが悪いこと。朝が苦手で、早起きして注射なんてとんでもない。朝にうつのは工夫しても絶対無理です。効率が悪いのはわかっていますが、我が家では「夜にうつ」パターンです。自己注射への工夫といえば動機付けのため、前々から説得しておいたことです。我が家では林間学校に参加する一年前に合わせてはじめるように言っておきました。 母(11歳のお子さん)
- 座談会:母親の集まりの会話から(1)
下のグラフ①は「血液凝固異常症のQOLに関する研究」平成22年度調査報告書のデータを抜粋したもので在宅自己注射療法を開始した人にどういったメリットがあったかのベスト3の結果です。出血への対応が劇的に改善されたとか、痛みが減ったという項目より、社会生活がしやすくなったことや心理的な解放感が上位を占めたことは興味深いところです。身体状況の改善よりもQOLの向上効果が大きいという結果です。そう考えれば、あまり出血しないはずの軽症の方でも半数が在宅補充療法を行っていることもうなずける気がします。反対に行っていない人に、その理由を訊いたものが②のグラフです。
出血しないことや症状が軽いことを理由に挙げているのは納得できます。ただ幼な過ぎるという理由と自信がないという理由については、基本的にはやりたい希望はあるが、これが障害になっているだけと考えられます。そうなるとよほど出血の少ない人以外は、血友病患者さん、ほとんどが希望していると思ってもいいのかもしれません。

- 座談会:母親の集まりの会話から(1)
春香(3歳):皆様は、いつから家庭治療を始められたのですか?
冬子(小6):うちは幼稚園のお泊り行事前だけど…(賛同者3名)
佳夏(小3):私のところは2歳から
千秋(年長):私は3歳から、入園前かな。2歳児は大変だったでしょ、うちでも大変だったのに。
佳夏:大変!入らない時もけっこうあって,そんな時は近所のお医者さんに頼んで、注射してもらっていた。今考えれば,少し大きくなるまでの短い間のことなんだけど…大変だった。でも知り合いのお母さんの中にはインヒビターが出て、1歳ちょっとで家庭治療をはじめざるを得なかった人もいて、もっと大変そうだった。
千秋:注射に失敗して、そのまま溶かした製剤を持って「これをうってください」と頼んだら断られたことがありましたけど、そんな経験はありますか?
冬子:それ、私もある。やはり前もって紹介状を持って行っておかなくちゃ。
一美(年中):うちの近所のお医者さんには、何かあった時の対応をしっかり伝えて、いざって言う時にお願いしますって話をつけておいた。
双葉(小2):息子の場合は小さい頃から通っている近所の小児科さんだったので、二つ返事でしてくれたの。うまくうてなくなると注射もちょっと教えてもらったし、とても助かったわ。
冬子:事前に話しておいたら、結構、受け入れてくれるところも多いみたい。
春香:準備も大切なんですね。それでも緊急が断られることもあると聞いているので、自分でできるようにしたいと思っています。それまでの間は紹介状を持って地元の小児科の先生に頼むことも考えた方がいいですね。
佳夏:本当に失敗する時はするわよね。簀巻き、馬乗り、膝で抑えてやったけど…
春香:そんなに。
佳夏:5-6回は失敗したこともあるし、小さい頃って何歳からはじめても最初は嫌がるもの。でも子どもが母親を嫌ったりはしないことは分かるので、やってみたらいいわ。
冬子:年長でも失敗はするわよね(そうそうの声)私は絶対に注射している時に子どもには謝らないようにしていた。「痛いのね、ごめんね」なんて言わない。だって、子どもに悪いことしているわけじゃないんですもの。この子のためにしているから、そこは譲らなかった。
双葉:私もそうしている。へぇ、同じこと、考えていた人いたんだ。
一美:私、どうも家だとうまくいかないのよね。病院で見てもらっている時はうまくいくのに。4-5回失敗したこともあった。それだと週三回の定期投与はいいんだけど、出血した後の連続投与だとうつところがなくなっちゃうのよね。
冬子:病院でできるってことは、落ち着けば必ず自宅でもできるようになるわ。あと少し。
佳夏:確かに、連続でうつと、刺すところがなくなることはあったわよね。そうなったら入院か、病院で留置針入れてもらうしかなかった気がする。
双葉:留置は留置で、ラップで巻いたり、小さいゴミ袋を腕かぶせたりして結構、お風呂なんて気遣うのよね。
冬子:ゴミ袋!?
双葉:使ってない物よ、もちろん(笑)
春香:右足首の出血が多くて、困っているんですが、留置したままの通園って、させたことあります?
佳夏:私、留置したまま通園させたことがある。狭い我が家で欲求不満で暴れるより、注意してくれる人の目も多いし、幼稚園で暴れた方がまだいいかなって考えて…なんとかなったけど。
一美:うちはトライしたが無理だった。幼稚園で断られた。
冬子:幼稚園に何が何でも通わせなくてはいけないと考えない方がいいと思う。それがまたストレスになる。うちもトライしたけど断念した。
双葉:幼稚園が許してくれるなら、半日ぐらいでもいいじゃない、本人が行きたいと言い、通える状態なら。
- Friends「自分たちでしよう」編(小島賢一)