冊子「Friends」
【体験談】血友病のいろんな「恋愛・結婚」〜彼女・妻の声

聞いてみて

謎が解けた
聞いてびっくりしましたが、納得もしました。ただ彼はほとんど出血がなかったので、同棲していても病気があるとは全く予想していませんでした。ある時、彼が車のトランクに市役所からの封書をたくさん隠しているのに気づき、尋ねました。彼は言いにくそうにしていましたが、私は借金や女性関係とか、あるいは親族のトラブルとかを連想していたので、結構、厳しく問い詰めてしまいました。話を聞いて、そういえば以前に「私、学生時代に薬害のこと、勉強したことがあって…」なんて話した時に表情が硬くなったり、血友病のことが書いてある冊子を持っていたことを思い出し、シグソーパズルのピースがはまったような気持ちがしました。厳しく問い詰めてかわいそうなことをしたなという想いと、大変だったんだとは思いましたが、別れようとか、ひく気持ちは浮いてきませんでした。(恋人)

自分で勉強
聞いた時は「血友病」なんて病気、全然知らなかったし、それまで病気だなんて微塵も感じさせなかったし、「へ?」って感じ。夫は病気のことを言われるのが嫌みたいだったし、痛い顔もしなかったし、普通にやれることにプライドも持っていたから、その後も私からは詳しいことが訊けないままでいた。少しは自分で勉強したけれど、今日、病院へいっしょに来て話を聞けてよかった。(妻)

デートだけが不満
お付き合いは3年前ぐらいから。アルバイトをたまに休むけど何だろうとは思ってた。病気のことを知ったのは付き合い始めて数ヵ月後ぐらい。最初はよく知らないし、びっくりっていうか、そうなんだって感じ。でも小さい頃のアルバムなんかを見せてくれた時に頭に装具つけたりする写真があって「けっこう、大変な病気なんだ」って思った。でも彼のお母さんも普通にしているし、彼も病気の話は病院へ一緒に行った時ぐらいしかしない。別に調子が悪くなければみんなと同じで、考えてみれば、何か外に出る(外見でわかる)ような病気じゃないし、注射すれば平気って今は思っている。そうね、足の調子が悪いと何処にもデートにいけなくなるのがちょっとストレスかな…。うちの親には話してません。(恋人)

迷いも残りますが
びっくりした。普段は明るくて冗談ばかり言っている人だから、話があると言われて、どんな深刻なことがあるのだろうと思っていたが、半分泣き顔で真剣に話してくれた。そういうことがあったんだって知って納得した。正直、今も迷っているところもあり、いつまで交際が続くか確信もないが、聞いた自分以上に、彼は辛かったと思う。(恋人)

世の中には
ちょっと関係あるような仕事はしているし、聞いたときは、そうなんだと思っただけで、受け入れることはできた。自分でも不思議なほど動揺はなかった。彼のせいではないし、他の病気や事故で若くして亡くなったり、体が不自由になったりする人だって、世の中にはたくさんいる。彼が信頼できる大事な人である事実に変わりはない。(恋人)

大した問題じゃない
交際して3ヶ月、彼が体調を崩して病院で診察室に入ったときに先生と彼の話を聞いていて、「あぁ、そうなんだ」って、はじめて知った。“騙された”とか、“本人から言って欲しかった”とかいう気持ちは全くなかった。“本人が言いにくかったんだな。周りから言ってくれても私はよかったのに”ってぼんやり思っただけ。介護関係の仕事をしていたこともあるかもしれないけど、私にしたら大した問題じゃない。他に女性がいたとか、子どもがいたとかいうなら大変だけど、これなら“一緒に治しましょ”って感じでやってけると思った。その後も病気については彼はあまり話したがらないので、自分でインターネットで調べたり、病院で冊子をもらったりして勉強している。(妻)

これだけは
求婚された時にひとつだけ条件付けました。それは「自分で注射してね」ってこと。彼ってすごい痛がりだし、私、彼の腕に針を刺す勇気はない。血見るのも苦手だし、ごめんね。(妻)

誤解?
病名を聞いた時は目の前が真っ暗になりました。あの人がすぐ死んじゃうと思いました。悲しいとか、悔しいとかいう以前に、自分の身にふりかかった現実とは信じられず、ぼうっとしていました。今、考えれば「白血病」と混同していたんです。彼から時間をかけて説明を受けて少し落ち着いたのですが、本当に安心できたのは病院へ一緒に行って、先生から大丈夫と言われた時でした。(妻)

ほっとした
無口な彼から「電話でできない話がある」と呼ばれた時は、プロポーズか、別れ話かのどちらかだという気がして、その晩から寝られなくなった。失礼な話だが、告白されても、最初何も知らないのでピンと来ず、「なんだ、そんなことか」と拍子抜けしたような、ほっとしたような気持ちで聞いていたのを憶えている。中身ははじめてきいたので良く分かりませんでしたが、別れようとは何故か思い浮かばなかった。(妻)

スタッフから一言!
告白の中身

“何をどう言うか”を考える上では、それまで相手にどのような姿を普段、見せていたのかがポイントになります。他の方と全く変わらない姿しか見せていなければ、相手は当然、予期していません。したがって「言わなくてはいけないことがある」というような正面から切り出す形にならざるを得ないでしょう。また足が悪いとか、体が弱いといった印象を持たれていれば、「○○のことなんだけど」という話でも納得してくれるかもしれません。ただ、恋人に弱さを見せたくない気持ちは誰にでもあるものですから、体が悪いところをわざわざ見せるようなことはしにくいものです。しかし好きな人のことですから、パートナーの方は結構、気づいている場合も少なくありません。一度に伝えるか、小出しにするかは別にして、ごまかしのない、真摯な態度が告白には大切でしょう。
なお、中身については“血が止まりにくい血友病であること”、“製剤輸注という対処法があること”、“伴性劣性遺伝であること”、“自分の現在の身体状況”が主な伝達事項になっているようです。まずはご自身で一所懸命、考えてみてください。なお、一人で煮詰まることもあるでしょう。そんな時は医師やスタッフに相談、追加説明などの支援をお願いしてはいかがでしょうか。

参考:
  • Friends「恋をしよう」編(小島賢一)