冊子「Friends」
【血友病体験談】幼稚園に行こう〜入園時期の皆の声
いつ入園?
最初「2年保育では、どうですか? その場合は優遇します」と園長は、ためらっていたのですが、でも、実際に保育をしている先生方が「お姉ちゃんと一緒の方が安心よ」といってくださって3年保育になりました。(母)
いきさつは知りませんが、年長から入りました。ただ同じ病気の弟が続いて入園しようとしたら断られました。私は別に何の迷惑もかけずに一年間過ごしたんだけどなぁ。理由はわかりませんが、母親の苦労に本当に感謝したいと思います。(30代本人)
他に同じ病気の子を知らなかったので、本当に不安でした。幼稚園にもそもそも入れてもらえるのかどうか。病気のことも心配だったので、年中から入れることにしました。その間に別な病院にもお世話になって情報を集めて入園の準備をしました。(母)
年少組の時は複数担任制だったので、目が届きました。むしろ一人になる年中組の方が心配でした。ただ既に幼稚園も、子どもも慣れていたせいか、特に問題はありません。年少から入れてよかったと思っています。(母)
- 年少からでもOK!
地域によって異なりますが、今は年少からでも普通に幼稚園に入るケースが多いようです。少なくとも病気を理由に入園を遅らせる必要性はないと考えられます。
- 評判だけではわからない幼稚園選び!
たまたま通園可能な幼稚園が複数あったのでよけい迷いましたが、役に立ったのは、幼稚園の前評判ではなく仲良くなった近所のお母さん方の具体的な話。たとえば園長先生の考え方や、園にとっては少し手がかかると思われる子どもでも受け入れているか、などの情報です。私の場合、実際にとても評判のいい幼稚園で、見学に行ったときの保育の様子も、案内してくれた先生の対応もとてもよく、是非この幼稚園に、と決めていた所があったのですが、改めて園長先生に病気の説明をしに行ったら、奥の方から出てきた園長は、連れて行った息子には一切目を向けず、私の話に聞く耳を持ちません。
「そういう子に限って、大事なときに問題を起こす。」
「保育園か養護施設に行ったらどうか」
「入園してからそのようなことがわかったら、その時点で辞めてもらいます。」
と言われ、切り捨てられました。後からわかったことですが、足が少し不自由な子も同じ様に断られていたとのこと。園長先生の判断で、少し面倒と思われる子どもは一切受け入れていなかったのです。断られた子どもは、当然通っていないので、園に通っている人たちだけの評判では、正直わからないこともあります。今でもその幼稚園の評判はいいですよ。私も、病気のことを周りには伝えていないので断られた。とも言えませんしね。決定権のある園長先生が、保育にあまり携わっていないような園は、要注意ですね。
幼稚園選びでは、苦労というか、嫌な思いをたくさんしたので、これから入園を控えているお母さん方には、同じ思いをして欲しくないと切に願っています。こんな体験談でも参考になれば、幸いです。
- 幼稚園に伝えているのか、今昔

右のグラフをご覧ください。これは幼稚園の入園時に病気のことを伝えていたかどうかをグラフにしたものです。
左の棒グラフは、「凝固異常症の病態把握に関する研究-2002年度QOL調査報告書」のデータを抜粋したもので、「6歳未満の子どもが通園している幼稚園・保育園に病気を知らせたか」という質問に対する全国の結果です。
このデータでは約80% 69名が“知らせていない”という回答でした。右の棒グラフは2009年12月に、荻窪病院に通院している保育園児・幼稚園児の母親20名に対して「幼稚園・保育園の入園時に病気を知らせたか」という質問をしたときの回答です。このデータでは85% 17名が“知らせた”という回答で、入園時には“知らせていない”と回答した15% 3名も、海外からの途中編入、病名判明前だった、同じ病気と知られている兄が通っていたなどの事情があり、後に“知らせた”とのことです。つまり、実質は全員が“知らせて”通園をしていたことになります。一方は全国各地の調査データ、他方は専門病院に通う患者さんという違いはあるにしても、わずか7年で非常に大きな変化ですね。乳幼児をお持ちのお父様お母様、入園時に病名を伝えるべきかどうかでお悩みなら、一度専門病院の扉を叩いてみてはいかがでしょう。
- Friends「幼稚園に行こう」編(小島賢一)