(血友病基礎講座)血友病の症状

目次(血友病基礎講座)血友病の症状

血友病の症状(1)

血友病は様々な出血症状をきたします。
血友病の出血症状で特徴的なことは、
体の外への出血(目に見える出血)よりも、
どちらかといえば体の内部での出血(目に見えない出血)が多いことです。

【慢性出血】

血友病関節症
 ・慢性滑膜炎(まんせい-かつまく-えん)
 ・関節拘縮(かんせつ-こうしゅく)

血友病性偽腫瘍(けつゆうびょうせい-ぎしゅよう)

血友病性嚢腫(けつゆうびょうせい-のうしゅ)

またその出血の後遺症が少しずつ積み重なると、慢性的な症状をきたすものもあります。
関節内出血が繰り返されると、その関節は慢性滑膜炎【まんせい-かつまく-えん】と呼ばれる状態になり、痛みが持続する上、通常よりさらに出血しやすくなります。
さらに関節内出血が繰り返されて関節の構造が破壊されていくと、関節拘縮【かんせつ-こうしゅく】と呼ばれる関節が動かない状態になっていきます。
筋肉内の出血が十分止まらないまま、次第に大きくなっていくと血友病性偽腫瘍【けつゆうびょうせい-ぎしゅよう】や血友病性嚢腫【けつゆうびょうせい-のうしゅ】とよばれる血のかたまりができた状態になります。

最近は治療方法の進歩により、これらの慢性症状は徐々に少なくなってきていますが、適切な治療をしていかなければ、将来、これらの慢性症状を起こすことになります。

血友病の症状(2)

生後1ヶ月(新生児期)・乳幼児期から13歳までの血友病の主な内出血や外出血の種類と好発年齢表(血友病基礎講座)

血友病の様々な出血症状にはそれぞれ好発年齢があり、生後すぐ(新生児期)には頭蓋内出血(脳出血)、乳児期には皮下出血が比較的多い傾向にあります。
しかし、この時期は基本的に運動量が少ない(赤ん坊なので、まだほとんど動き回れない)のでそれほど出血の頻度は多くありません。
もう少し大きくなって、立って歩くようになってから、だんだん出血が増えてきます。

幼児期には転倒も多いので、頭をぶつけることが多く、頭蓋内出血や外傷出血の頻度が多くなります。
もう少し大きくなると、歩いたり走ったりすることが増え、特に足の関節に負担がかかることが多くなるため、だんだん関節内の出血が増えるようになります。

子供は全般的に鼻出血も頻度が多いので、血友病のお子さんも鼻出血が増えてきます。また、乳歯が生えてくるときに、歯肉から出血するようになります。

もっと大きくなると、関節内、筋肉内の出血が中心になってきます。

関連ページ 赤ちゃんや小さなお子さんの出血症状と安全対策

参考:
血友病基礎講座(兵庫医科大学 日笠 聡)