保護者の方へ〜幼稚園期

ご家族の多くは仕事や成長の過程で、お子さんを幼稚園や保育園に預ける必要が出てきます。お子さんの血友病について幼稚園や保育園と話し合いましょう。保育士や先生はあなたの依頼を守れる信頼の置ける人物である必要があります。十分に話し合った上で必要な情報を記入して保育士に渡すようにしておきましょう。

また、基本的には、どこの保育園や幼稚園でも受け入れてくれる用意があると思いますが、園の方針で断られる場合もあるようです。入園の時には、園の先生にあらかじめ病気について説明をしておく必要があります。その時には保護者の方が説明に行かなくてはなりません。中には血友病のお子さんや血液疾患などのお子さんを保育した経験をもつ保育士や先生に巡り合う時もあります。もしスムーズに行かない場合には、医師の診断書があると園側の理解がより深まることもあります。学校の先生向けの冊子もありますし、病院側も、男の子の場合、頻度は少ないが誰にでもなり得ること、病気の特徴や注意点などを記した手紙を、ご家族のご希望に応じて渡しています。また、必要な場合には、園の先生に病院に来ていただき、医師より説明させていただくこともできます。もしお困りの場合には、地域や病院の保健師に相談をするとよいでしょう。

入園時にすること

  • 出血した時に、保育士や先生が何をすべきで、どんな兆候を見るべきか知らせましょう。
  • どんな運動を避けるべきか保育士や先生に話をしましょう。
  • 疑問があったら必ずご家族か主治医に連絡するよう保育士や先生にお願いしておきましょう。

スポーツと運動

血友病のお子さんには定期的な運動は大切です。運動を通して子どもは筋力を強め、それによって関節を保護して出血を減らすことができます。お子さんはバランスも取れるようになりますしスタミナもつきます。スポーツはお子さんの心身の発育に欠かせません。子どもは皆好かれることを欲し、また友達が欲しいものです。スポーツをすることはこれらの目標に巡り会う最適な手段です。その上、スポーツはお子さんに達成感とプライドを与えてくれます。

スポーツを選ぶ時、どの程度お子さんの体を傷つける可能性があるか見きわめてください。どの関節や筋肉を使うのか、どのくらい身体の接触があるのか?接触があればあるほど出血の可能性は高くなります。すべての出血を防ぐことはできませんが、けが、特に頭への衝撃の可能性の低いスポーツを選ぶのが賢明です。

スポーツや運動をする時には…

  • ヨチヨチ歩きの赤ちゃんや未就学のお子さんはキャッチボールをしたり、ブランコに乗ったり、駆け回ったりできます。ジャングルジムや滑り台は大人がそばにいる限り大丈夫です。
  • 水泳は血友病の人々に最適なスポーツの一つです。関節に負荷を加えずに安全に筋肉を鍛えることができます。水の中でパシャパシャさせて、お子さんがまだ小さいうちに水に慣れさせましょう。大きくなって泳ぐことを覚えたら、スイミングクラブに入ることを勧めましょう。
  • 主治医とともに、年齢に合ったスポーツと活動の利点とリスクについてより理解を深めるよう努めてください。

出血が増える時は

はじめは神経質になっていても、お子さんの様子が分かってくるにつれて、幼稚園や保育園の対応は落ち着いてくる例がほとんどです。もちろん入園後、出血が増えて困る例がないではありません。聞き分けよくなるのは、まだ先の話ですが、それでも生活に慣れ、筋力がつけば減ってきます。どうしても減らない時は、病院と相談してサポーターや装具の助けを借りてはいかがでしょう。

出血を防ぐ工夫、あれこれ

転倒や皮下出血を避け、足首や膝の負担を軽減するために、靴は足にあったものを履かせてください。また人にもよりますが、踵部分にクッション材が多く衝撃を吸収してくれる靴、足首を覆うハイカットの靴も良いようです。服は硬い飾りのついた物はさけてください。家の床もウレタンなどのクッション床材を組み合わせて、フローリングの上に敷いておくことでも効果があります。小さいうちは、テーブルなどの家具の角を、梱包材(よくプチプチとか言われていますよね)で保護したり、小さいおもちゃ(ミニカーや金属製の人形など)を床に落ちたままにしておかない配慮(その上に転んでお尻に出血する子はとても多い)も必要です。ただし、これらのことをしても出血する時はあります。あまり神経質にならずに過度に行動制限することは避けてください。筋肉や運動神経を発達させておくことも、長期的には出血を防ぐ大切な工夫なのです。

では一旦出血した後に再出血を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか?原則は輸注して安静を保つこと。たとえ止血しても、その部分の血管は補修が終わったばかりで、再出血しやすい状態にあります。しばらくはその部分を動かさないことが大切です。でも小さい子にそれを期待するのは無理。痛くなくなれば、すぐに走り出してしまうでしょう。体軽いので衝撃は少なく、あまり反復することはないですが、反復するようなら、運動具店で売っているサポータで軽く保護してみてください。駄目なら次に定期補充療法を主治医の先生と検討してください。これは出血の多少や同一部位の反復の様子をみて、量と間隔を決めて、週に1〜3回程度、定期的に輸注する方法です。あるいは、病院に相談して装具を作る方法もあります。装具は関節部などを外から支えて、保護すると同時に関節の可動を制限して、活動を多少おとなしくさせます。

最終的にはお子さん自身が、「自分はどのへんに限界があって、その範囲で普段の活動をし、何をして範囲を広げていくのか」を知ることがもっとも効果的な工夫といえます。

注射してほしいと言われたら

子どもは基本的に注射が嫌い。よく親に甘えて注射して欲しい、痛いと訴えているのではないかと相談も受けますが、ほとんど嘘はないと考えて、注射をしてあげて(もらって)ください。本当に痛い時にうってもらえないのはとても辛いですし、万一、甘えたくて訴えたとしても、注射の痛さや面倒さが分かれば、自然消滅します。

参考:
お子さんが血友病と診断されたご家族のために(小林正夫)(バクスター)
Friends「幼稚園に行こう」編(小島賢一)(バクスター)