患者さんとご家族へのインタビュー

〜血友病と生きる私たちのいろんな気持ち〜

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INTERVIEW

チャレンジするのは自由
やらないより、やってみてから学べばいい
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江端ご夫妻と1歳の息子さん、愛犬のアンちゃん。3月上旬、この時季にしては珍しい大雪の中、取材にご協力頂きました。
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江端隆寿さん
北海道在住
歯科医

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えばた歯科医院副院長。北海道医療大学歯学部を卒業後、北海道大学大学病院にて研修。
道内の歯科医院勤務を経て、2015年より現職。
休日、自宅のある市内の公園でご家族や愛犬と散策する江端隆寿さん。 ご家族を見守るそのまなざしはあたたかく、ゆっくりと落ち着いて話す姿にとても穏やかな印象を受けました。 歯科医ならではの江端さんの想いや、血友病患者さんへのメッセージなどをうかがいました。
子どもの頃は野球が大好きで、
松葉杖をつきながらやっていました
子どもの頃は、近所の公園で同級生とよく草野球を楽しんでいました。どうしても野球がしたかったので、関節が痛いときでも、松葉杖をつきながらやっていました。子どもなりに考えて、僕は打つのだけを担当し、1塁へ走るのは友達にやってもらっていたんです。一人でいるときも、家の壁を相手にキャッチボールをしたりしていました。楽しかったですね。

歯科医を志したのは、父が歯科医だったことが影響しています。その道に進むきっかけは、高校2年の進路相談で担任の先生から「医療大学の歯学部に推薦で入学できる可能性がある」と言われたことでした。実は高校受験の直前に、脳出血で入院したことがあり、授業を休みがちで、公立高校の受験ができなかったことがありました。ですから、推薦入学を前向きに考えたのだと思います。自分にやってきたチャンスをつかんで、歯科医という夢を叶えたいと。肉体的に苦しかったことも、大変だったこともありましたし、両親は、「座ってできる仕事であれば体に負担も少ないから、手に職をつけてほしい」と考えていたようです。
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いずれは院長に就任されるご予定。健康への強い関心や意志をお持ちでした。
別に隠し続けることでもないなと
親しい友達に話すようになり、ラクになった
妻には、結婚前に病気のことを話しましたが、驚かせてしまったようです。「体に随分とアザや打ち身がある人だな、と心配していたけれど、まったく知らなかった……」と言っていましたが、今は「大きな心配はない」と話してくれています。
2015年には、息子が生まれました。両親は病気の可能性を心配したようでしたが、僕は(性別は)どちらでもいいと思っていたんです。今は、定期補充療法などもあって対策ができるから。僕も、子どもの頃は怪我をすると病院へ行くという生活をしていましたが、高校2年のときに定期補充療法を始めてからは、生活が変わりました。

こんな楽観的な僕ですが、病気のことを誰にでもオープンにしていたわけではないんです。どこかに劣等感があったんですよね。でも、2015年に人前で血友病のことを話す機会があり、それ以降は「隠し続けることでもないな」と、親しい友達には話すようになりました。それで、精神的にラクになりましたね。今は、自分の体との付き合い方が分かっています。
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「自分の考えをあまり曲げないタイプなんです」と話された江端さん。子どもの頃、やりたいことを尊重してもらえる環境だったことを感謝されているそうです。
病気と向き合っている立場だからこそ
患者さんの気持ちを理解できる
休日は、愛犬の散歩も兼ねて、公園へ散歩に行くことが多いです。これから子どもが歩き回るようになったら、いろいろなところへ行けますね。
今後は負担をなくすための正しい身体の使い方や仕組みをもっと勉強したいと思っています。ここ一年は育児中心だったので、勉強を再開しようと。
歯や口腔の問題は体の病気に関わることが多く、口腔ケアは、さまざまな病気の予防にもつながります。自分が病気と向き合っている立場だからこそ、患者さんの気持ちを少しは理解できる面もあると思います。
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雪の降り積もる中、公園内を元気に走りまわるワンちゃんと、散歩されるご夫婦。
現状を受け入れつつ、やりたいことに挑戦してほしい
他の人より、できることがあるかもしれない
僕にとって血友病は、生まれたときからあるもの。人生の一部になっているんです。病気の名前にもあるように、「友達だな」と感じています。不便や面倒なこともありますけど、病気があるから不幸だということではないんです。
僕は負けず嫌いで、やりたいことにはトライしてきました。血友病の人には、現状を受け入れつつ、やりたいことに挑戦してほしいです。やらないより、やってみてから「できるじゃん」「できないかも」と学べばいいんです。
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自分らしい道を模索し、歩み続けてこられた江端さん。

取材後記

入院などを経ても努力を重ねて、家族を築き、さらに健康について理解を深めようと学習されている江端さん。 「不便や面倒なこともありますけど、病気があるから不幸だということではないんです」と穏やかに話される口調のなかにも、江端さんの芯の強さが感じられるインタビューでした。 有難うございました。
写真:橋本裕貴 文:小久保よしの
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