患者さんと
ご家族へのインタビュー
〜血友病と生きる
私たちのいろんな気持ち〜

血友病であることを言い訳にして過ごしたくない。-望月優希さん(美容師)(2/4)

美容師は天職。
理解ある仲間と仕事ができることが嬉しい。

子供の頃は、造園業をしている父親の働く姿を見て、自分も同じ職業に就きたいと思っていました。しかし母親が反対し、デスクワークについてほしいと言われていました。自分が血友病ということもありますし、自分は放射線技師とか看護師とか、病院で働く仕事もいいなと憧れることがありましたね。

最終的に選んだ職業は、美容師です。小さな頃から、理髪店に連れていってもらったことがなくて、髪の毛はいつも親に切ってもらっていたんです。自分の髪の毛を自分で切ってみたい、と思ったのが美容師になるきっかけです。

とてもよい職業についたと思います。人と接する仕事が自分には向いているかもしれませんね。お客さんと話をしながら仕事をするのはとても楽しいです。立ち仕事が足によくないんじゃないかと言われることもありますが、実際には座ってやることが多いんですよ。髪の毛を切るときも、髪の毛を洗うときも座って仕事をしています。

美容院の仲間には、自分が血友病であることを隠していません。お客さんにも話すことがあります。何か事故が起こって、自分が動けないときに助けてくれるのは周りの人なので、病気のことはきちんと話しておいたほうがよいと思っています。

とはいっても、これまで問題が起こったことは一度もありません。日頃注意していることといえば、ハサミで指を切らないようにすることぐらいでしょうか。もし切ったとしても、店にも凝固因子製剤を置いているのですぐ注射ができますし、出血はすぐにおさまります。私の病気を理解したうえで、一緒に仕事をしてくれている店のみんなには、本当に感謝しています。

現在行っているのは出血時補充療法。
今後は定期補充療法も視野に。

現在、定期補充療法は行っていません。出血時補充療法が主体です。子供の頃は定期的に母親に注射してもらっていましたが、自己注射はやはりあまり好きではないので、どうしてもなにかあったときに打つ、という感じになっています。定期的にきちんと注射することがよいことはもちろんわかっていますが、今はそれで困ることもないし、何事もなければ1か月注射しないこともあります。

ただ、私の場合、昔から左足首の関節の状態があまりよくないんです。たくさん歩いたり疲れたりすると痛みが強くなります。その時には必ず注射をしていますが、これからは、定期的に注射することも考えていかなければいけないんでしょうね。

最近は凝固因子製剤の種類も増えているので、先生から製剤の変更を奨められることもありますが、製剤を変更するとインヒビターができやすいという話も聞くので不安です。しばらくはこれまで使っていた製剤で治療していこうと考えています。