患者さんと
ご家族へのインタビュー
〜血友病と生きる
私たちのいろんな気持ち〜

血友病の患者会で出会った友だちに支えられ、治療をはじめ、いろいろなことにチャレンジできるように。-C君(中学生)とお母さん(1/5)

No.06 C君(中学生)とお母さん 近畿在住 患者会で出会った友だちに支えられ、治療をはじめ、いろいろなことにチャレンジできるように。今は、仲間と協力して、目標を達成したときの充実感を味わえるボーイスカウトの活動に夢中。

生後5カ月、腹部に紫色のこぶが突然でき、病院へ。
血友病と診断されたが、最初は軽く考えていた。(お母さん)

生後2〜3カ月頃、息子が何かの拍子に爪で耳のあたりをひっかいたりした後、タオルに血が点々とついていることが何度かありました。しかし私は、「赤ちゃんは、こんなものかな」と考えていて、あまり気にしていませんでした。ところが、生後5カ月頃、息子が寝転んでゴロゴロしながら遊んでいる時に、おもちゃがお腹に当たっていたのか、気付いたときには、お腹に紫色の大きなこぶができていました。さすがの私もこれにはびっくりして、大慌てで息子を近所のお医者さんに連れて行きました。

近所のお医者さんからは、「血がとまりにくい病気かもしれない」と大きな病院を紹介していただきました。そこでまず検査を受け、後日、血友病という診断を受けたのですが、その日のうちに親子で2週間程度入院することになりました。これは主治医の方針で、子どもの体調にかかわらず、「親に血友病を理解してもらう」ための入院でした。ただ、私は、息子に何か問題があるわけでもなく、気軽な気持ちで検査結果を聞きに受診しただけだったのでかなり驚いてしまい、入院の準備のために慌てて家に戻ったことを覚えています。

入院中は血友病に関する資料をたくさん読み、「血友病とはどのような病気か」を学ぶとともに、いろいろな病気を抱えた子どもの親と一晩中話し込んだりして交流を深めました。そのような中、私は「みんな、すごく大変な思いをしているんだ。血友病なんか、たいしたことない。私は息子を育てていける!」という自信を持つようになっていきました。

退院後、まわりは健康な子どもばかりで、ポツンと子育て。
育児に対する不安がつのる毎日。(お母さん)

ところが、退院するとまわりは健康な子どもたちばかりです。そのため、病気を抱えた息子を目の前にして、「どうやって子育てすればいいの」、「どんなときに出血するの」、「膝や足首などの関節内出血は障害が残るから気を付けてと言われたけど、どうやって発見するの」など……、いろいろなことが分からず、入院中の育児に対する自信は嘘のようになくなり、毎日右往左往しながら、不安で不安で仕方ありませんでした。

生後7カ月ぐらいの時に、膝があたたかくなっていることに気付き、「関節内出血が起こったのではないか」と、休日深夜帯でしたが大慌てで病院に駆け込み、救急担当の先生に診てもらいました。そうしたところ、「何でもない」と言われ、家に戻ったのですが、膝がどんどん熱くなって、どんどん腫れてきて、再び病院に駆け込みました。その後、膝の出血を何度か経験したのですが、対応がさまざまだったので、「主治医がいない時間帯に何か起こること」への不安がどんどん強くなっていきました。

また、当時は定期補充療法についてまだよく分かっておらず、インヒビターの発生などを懸念し、定期補充療法をしていなかったため、主治医からは「けがをさせないように」と言われていました。もちろん、それは「遊ばせてはいけない」という意味ではなかったと思います。

ただ、私たちは、「出血してはいけない」との必死の思いから、息子が3歳になる頃まで、どこに行くのにも常におんぶや抱っこ、ベビーカーに乗せるなどして出かけ、公園や児童館などで他の子どもと遊ばせることはしませんでした。そのせいか、息子は同じ年頃の友だちができず、私もポツンと1人で子育てしている状況で孤独感にさいなまれていました。

そこで、血友病の子どもやその親とのつながりを求めて、インターネットで情報を収集していました。『CHP net〜血友病の子供と、その親たちのためのネットワーク〜(http://chpnet.cdx.jp/)』で、大阪で講演会が開催されるのを知り、思い切って参加することにしました。そのときの講師の先生が、「私たちの患者会ではキャンプをやっているので、ぜひ参加してください」と話されていたので、少し遠方の他県での開催でしたが、「そんなのがあるのか。よし!行こう」と、親子での参加を決めました。