患者さんとご家族のための血友病情報誌「ファイン」 Vol.9

血友病治療には、患者さんが
病気について話しやすい環境が大切です

 今回の「ハロー!ドクター」は、宮崎大学医学部附属病院を訪問し、上村幸代先生に血友病診療についてお話を伺いました。
上村先生は、患者さんやそのご家族のサポートを積極的に行い、ほかの病院と連携をとりながら、患者さん一人一人の未来と向き合って血友病診療を行っています。
上村 幸代(かみむら さちよ)先生

宮崎大学 医学部 発達泌尿生殖医学講座 小児科学分野 助教
上村 幸代(かみむら さちよ)先生

■PROFILE
大分医科大学医学部卒業1994年より宮崎大学医学部附属病院小児科勤務
・日本小児科学会小児科専門医・日本がん治療認定医機構がん治療認定医
優しい笑顔の上村先生。プライベートでは3人のお子さんの母親として、家庭と仕事を両立する忙しい毎日を送っています。そんな忙しい日々のなか、リフレッシュ法は「子どもと一緒にお笑いを見ること」という気さくな面も。

子どもの成長や明るい未来に向かって一緒に歩んでいける
小児科医を選びました

 宮崎市内に位置している宮崎大学医学部附属病院(以下、宮崎大学病院)は、18の診療科を有する宮崎県における中核的医療機関です。上村先生は6グループに分かれる小児科のなかで、血液・腫瘍グループに所属し血友病患者さんの診療を行っています。上村先生に小児科医を志したきっかけを伺うと、「子どもが好きだからです。かわいいですよね。」と迷いのないお答えが返ってきました。産婦人科医と迷ったこともありましたが、子どもの成長や明るい未来に向かって一緒に歩んでいける小児科医を選んだそうです。

 上村先生は日々の診療のほかにも、小児がん経験者とそのご家族を支援する「宮崎ひまわりキャンプ」や骨髄バンクの調整医師としても活動を行っています。2015年には、宮崎ひまわりキャンプが主催する2回目のサマーキャンプが開催されました。今回は、成人した小児がん経験者3名がスタッフとして参加し、「私たちが子どもの頃に、こんなキャンプがあったら参加したかった!」との声もあったそうです。上村先生は、患者さんやそのご家族同士の交流を大切に考えており、設立当初から宮崎ひまわりキャンプを支援しています。

【宮崎ひまわりキャンプ】
小児がん経験者とそのご家族を支援することを目的として、2013年12月に設立。宮崎大学医学部の学生で構成された実行委員会を中心に、上村先生と臨床心理士、がんの子どもを守る会・宮崎支部が協力をして運営をしています。サマーキャンプやイベントを通じて、小児がんを経験した子どもたちが交流し合い、病気や日常生活について話し合えるように支援を行っています。

スポーツに対して迷っている方は
一度主治医と相談してみてください

 現在、上村先生は2歳から30歳くらいの軽症型〜重症型の血友病の患者さんを診療しています。定期的に通院している方のほかに、宮崎県に帰省した時など不定期に来院する方もおり、宮崎大学病院に通院する血友病患者さんは少しずつ増えているそうです。

 最近では、生後6ヵ月から診療していた宮崎県内の患者さんが、就職のために18歳で関東地方へ移住したそうです。「移住先の病院は、信頼できる先生を紹介しました。赤ちゃんの頃から知っているので少しさみしい気持ちもありますが、なにより患者さんが成長したことが嬉しくて。ほっと一安心ですね。」と笑顔でお話してくださいました。

 近年、血友病治療の発展により今まで困難だったスポーツに挑戦する患者さんが増えてきました。上村先生も担当する患者さんから、テニスやサッカー、学校の授業で行われる武道などのスポーツに関する相談をされることが多いそうです。「スポーツに対して少し躊躇している患者さんも、1回経験すると自信がつくみたいですよ。迷っている方は、一度主治医と相談してみてください。」とアドバイスをいただきました。

患者さんやそのご家族同士の交流、
病院との連携も大切に考えています

 上村先生は患者さんのご家族からの信頼も厚く、色々な相談が寄せられます。家庭療法導入についてのアドバイスを伺うと、「家庭療法の導入前から少しずつ心の準備をすること、そして注射への不安が少なくなるまで繰り返し練習することがポイントです。あとは、不安なことがあればどんどんスタッフに聞いてください。」とのこと。患者さんやそのご家族同士の交流が少ない方に対しては、上村先生と親交の深い患者さんのご家族に協力をお願いすることもあるそうです。

 上村先生は血友病患者さんが多い福岡県の主要病院と連携をとりながら診療をしています。通常、上村先生の患者さんは、その主要病院に年1回の間隔で通院しているそうです。「専門的な診療という点だけではなく、多くの患者さんと交流できたり、新しい知識が得られたりするので患者さんにとっても良い刺激になるみたいですよ。」上村先生自身も、普段からその主要病院のスタッフと綿密に連絡をとり、専門的な知識や患者さんとの交流を深めているそうです。

ご家族が積極的に参加して、
患者さんが病気について話しやすい環境作りを

 上村先生は普段から患者さんの輸注記録に細心の注意を払っています。輸注記録を忘れてしまう患者さんには、「自分の未来をつむぐ大切な記録であることを認識して、しっかり記録を続けてほしい。」と日々の診療のなかで伝えています。「輸注記録を含めた血友病治療には、ご家族の協力はもちろん、患者さんが病気について話しやすい環境が大切です。そのためには、お母さんだけでなく、お父さんやご家族も血友病治療について積極的に参加してくれるといいですね。」と上村先生は言います。実際に上村先生の患者さんのご家族には、注射手技を熱心に学び、積極的に子どもの注射をするお父さんが増えているそうです。

 最後に、上村先生に血友病患者さんやそのご家族へのアドバイスを伺いました。「血友病は、子どもと接する時間がとても長い病気といえます。ご家族にとっては大変なこともありますが、子どもとの絆はとても深くなるという点をポジティブに捉えて、一緒に子どもの成長を見守っていきましょう。」と、患者さんとそのご家族のつながりを大切に考えている上村先生の思いが込められたお言葉をいただきました。上村先生は、「健康な子どもと同じように暮らせるように、子どもの明るい未来へのお手伝いをしていきたい。」という信念のもと、今日も子どもたちを笑顔で迎えています。

宮崎大学医学部附属病院 小児科スタッフのみなさま
先生を中心に、笑顔が明るくチームワークのよい小児科スタッフのみなさま。
各診察室には動物の絵が描かれており、明るい雰囲気で子どもたちを迎えています。
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宮崎大学医学部附属病院

宮崎大学医学部附属病院


〒889-1692 宮崎県宮崎市清武町木原5200
TEL:0985-85-1510(代表)
メールアドレス:medsomu@med.miyazaki-u.ac.jp
宮崎大学医学部附属病院 ウェブサイト

宮崎大学医学部附属病院は、医師養成教育機関として1977年10月に開設されました。1994年には特定機能病院の指定を受けており、地上7階の建物に18の診療科ならびに総病床数632を有する宮崎県における中核的医療機関です。

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