海外レポート
世界血友病連合(WFH) 第31回学術大会参加報告

兵庫医科大学病院 血液内科 徳川多津子先生

兵庫医科大学病院 血液内科 徳川多津子先生

 兵庫医科大学病院血液内科の徳川多津子です。この度活動開始から50年を迎えた世界血友病連合(WFH)の第31回学術大会に参加しましたので報告します。

 場所はオーストラリア南東部の都市メルボルンで、期間は2014年5月11日〜15日でした。メルボルンは、道が碁盤の目状で比較的迷わず見て回ることが出来ます。しかし、市街地でも坂が多く、徒歩での散策には体力が必要です。そこで便利なのが街中のトラム(路面電車)や市街地から郊外につながる電車などの交通手段で、乗り継いで行けば色々な観光地巡りも可能です。学会場は街の中心部から少し外れていましたが、目の前には“CROWN”というカジノを備えた複合商業施設があり、夜はネオンの光や人々でとてもにぎやかな雰囲気でした。
 それでは学会内容を、私の感想とともにご紹介したいと思います。

血友病の新規凝固因子製剤

 最近話題となっている、長時間作用型第VIII/第IX因子製剤が使用可能となる時期が近付いています。今回の学会では「新規製剤をどのように使用するか?」という臨床への導入に関する発表がありました。第IX因子製剤は、半減期が今の製剤と比べて3〜5倍とかなり長くなる為、状況により2週に1回の定期補充が可能かもしれません。一方、第VIII因子製剤は、半減期が今の製剤と比べて約1.5倍で、それ程効果が長くなるわけではありません。しかし、今までは出掛ける直前に注射することが推奨されていた予備的補充が、半日ぐらい前の投与でも良くなるかもしれません。また人によっては週3回の定期補充を週2回に減らせる可能性もあります。新規製剤が登場した際には、より生活スタイルに合わせた投与方法を患者さんごとに相談して決めていく必要があると感じました。
 またインヒビター保有血友病に対する新しいバイパス製剤も登場予定なので、今後選択肢が増えることによって、今までより一層“血が止まる”“出血しにくい”と実感が出来ることを期待したいです。
オーストラリア南東部の都市メルボルン

血友病保因者

 血友病保因者は、あまり“血が止まりにくい”自覚がなくても、実際には月経時や分娩時の出血が通常より多い場合があり、一部の保因者では凝固因子活性がかなり低い例もあります。保因者に関するセッションで、保因者の生理出血や分娩時に凝固因子製剤を第1に使用するか、という問いに関しては「使用しない」という結論でした。ただし、他の治療法(ホルモン剤、止血剤等)での効果が認められない、もしくはそれら薬剤が使用不可な場合は考慮が必要なようです。月経や分娩時、それ以外の出血時のためにも、保因者の方は一度凝固因子活性値の測定をして頂きたいです。

世界の血友病診療を通して感じたこと

 日本では主な凝固因子製剤はほぼ全て使用可能で、また医療費助成制度により医療費負担も軽減されています。ただ、世界を見てみると、凝固因子製剤が未だ使用出来ない国・地域は数多く存在し、世界中の約75%の患者さんは適切な治療を受けることが出来ずにいます。日本は恵まれているからこそ、改めて、治療・コスト意識を持った有効的な凝固因子製剤の使用を医療者側、患者さん側、ともに考えていく必要があると感じました。

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