賢い患者学
〜コミュニケーション力を磨いて、賢い患者になりましょう〜
第4回 自分のコミュニケーションを見直す

コミュニケーションは双方向性のものです。患者の姿勢によって医療者の対応も違ってきます。自分を振り返り、ふだんからよりよいコミュニケーションをとることを心がけましょう。

第4回 自分のコミュニケーションを見直す-目次

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML 理事長
山口育子さん

■PROFILE
山口育子さんプロフィール

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML
Consumer Organization for Medicine & Law
医療を消費者の目で捉えようと、1990 年9月に活動をスタートした市民中心のグループ。患者と医療者が対話と交流の中から、互いに気づき合い、歩み寄ることのできる関係づくりを目指し、電話相談や「患者と医療者のコミュニケーション講座」など、様々な活動を行っています。 http://www.coml.gr.jp/


患者が引き出す医療者の力

 知人に“医者運” がいいとおっしゃる女性がいます。ある時、胃カメラ検査を受けたというので、その様子をうかがってみました。その方は待合室で先に検査を受けた人に「どうでしたか?」と尋ねてみたそうです。「とても上手な先生でした」と聞き、自分の番がきた時に「先程の方にとても上手な先生だと聞いて安心しています」と言ったそうです。医師は悪い気はしません。同時に期待を裏切れないと適度に緊張します。検査中は“自分にできる最大限の努力”として「力抜いて」って言われたら、“くたー” と力を抜くそうです。そして、検査が終わったら「噂どおり上手な先生でとても楽でした。ありがとうございました」と言って帰られたとか。この話を聞き、この方は医者運がいいのではなく、相手の力を引き出すコミュニケーション能力を持っているのだと思いました。もちろん、医療者に媚びる必要はありません。しかし、最適な医療を受けるためには患者も自分の受診態度を自覚する必要があるのです。

ふだんからのトレーニングが大事

 医療現場のコミュニケーションは日常のコミュニケーションの応用編です。緊張しますし、ショックを受けることもあります。専門用語も飛び交います。日常で話し方の工夫ができない人、質問ができない人、確認ができない人が医療者に会った時だけコミュニケーションがうまくなることはあり得ません。ふだんからコミュニケーション力を鍛えていくことが大切です。
 コミュニケーション力を鍛える方法としては、身近な人に自分のコミュニケーションについて聞いてみるといいでしょう。どんな表情で聞いているか、話はわかりやすいか、話を遮ったりしていないか、などなど。そうすると、語彙が少ないとか、自分の気持ちを言葉にするのが苦手だとか、思い込みをしがちだとか、コミュニケーションの癖がわかってきます。こうした癖を見つけることがコミュニケーション力の向上につながります。

賢い患者になるためのメモ術

 病気や治療のことで気になったことは、ノートにメモしておいて、病院に持って行くのがおすすめです。その際、びっしり書くのではなく、余白を作っておきましょう。1ページにメモは1つでもいいかもしれません。こうしておけば、医師の前でメモをとることに躊躇を感じても「忘れてはいけないので書いていいですか?」と言いやすくなります。また、わからない言葉や説明があった時は、ノートを渡して余白に文字や説明の図を書いてもらうこともできますので、正しい理解が進み、病気や治療に関するオリジナルの資料としても活用できます。

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