海外レポート
国際血栓止血学会(ISTH)第24回年次学術集会参加報告

目次

はじめに


聖マリアンナ医科大学病院 小児科 山下敦己先生

 聖マリアンナ医科大学小児科の山下敦己です。この度2013年6月29日から7月4日にオランダのアムステルダムで開催された国際血栓止血学会(ISTH)第24回年次学術集会に参加してきました。
 この時期のアムステルダムは日本に比べとても寒く、朝晩は10℃前後まで下がり、日中でも20℃前後までしか上がらず、コートを羽織る人もいるほどでした。学会はアムステルダム中央駅からトラム(路面電車)で20分程の、RAIコンベンションセンターという会議場で行われました。
 ISTHという学会は、血栓止血学の分野の中では最も大規模な国際学会であり、この領域に携わる多方面の医療関係者が参加し、血友病だけに限らず様々な分野の最新治療や研究成果が発表され、活発な討論が行われていました。 
 今回の学会では、e - posterpresentation という新たな発表形式が取り入れられました。これまでのポスター発表は、発表内容を印刷したポスターを持参し、指定された場所に掲示する形式でしたが、e-posterは学会前にオンラインで発表スライドを登録し、会場では無数に設けられたモニターに発表スライドが表示され、モニターのタッチパネルを操作して発表を行うものでした。血栓止血学の学会でこの形式が採用されるのは初めてのことでしたので、私も含め参加者は皆戸惑っているのが印象的でした。
 今回はこの学会における血友病に関するトピックスを御紹介したいと思います。

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血友病の新規治療薬

 現在いくつもの製薬会社から血友病の新規治療薬が開発され、臨床治験が進められています。代表的なものは長時間作用型凝固因子製剤ですが、現在発売されている治療薬とは作用機序が異なる新たな止血治療薬についても発表されていました。長時間作用型凝固因子製剤が発売されれば、おおよそ血友病Aでは週に2回、血友病Bでは週に1回の注射で定期補充療法が可能になるようです。薬剤の効果だけでなく、安全性に関しても治験の結果を慎重に見守りたいと思いました。

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新規抗凝固薬*

 血栓症の予防薬および治療薬として血液の凝固能を抑制する薬を抗凝固薬と言いますが、近年新たな抗凝固薬が開発され実際に使用され始めています。これらの薬剤は従来の抗凝固薬に比べて安全性が高いと言われていますが、合併症として出血を生じることもあります。しかし薬剤がどのくらい効いているのかを評価する検査方法が確立されておらず、治療上の問題点であると考えられています。今回の学会ではこの新規抗凝固薬の問題点に関する話題が活発に討論されていました。現在では血友病患者さんの寿命は一般男性と変わらなくなり、血友病患者さんにも脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症が生じることが知られています。血液が固まりづらいはずの血友病患者さんが血栓症を生じた際にどのような治療を選択するべきなのか、高齢の血友病患者さんにとっては決して無視できない話題だと感じました。

*血液が凝固しないようにする薬剤のこと。血栓症・心筋梗塞の治療、輸血などの際に使用される。

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