賢い患者学
〜コミュニケーション力を磨いて、賢い患者になりましょう〜
第3回 賢い患者の始まりは子ども時代から

子どもの頃の経験が賢い患者になるための礎になります。小さなお子さんでも病気を自覚し、主体的に病気とかかわっていけるようになることが必要です。

目次

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML 理事長
山口育子さん

■PROFILE
山口育子さんプロフィール

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML
Consumer Organization for Medicine & Law
医療を消費者の目で捉えようと、1990 年9月に活動をスタートした市民中心のグループ。患者と医療者が対話と交流の中から、互いに気づき合い、歩み寄ることのできる関係づくりを目指し、電話相談や「患者と医療者のコミュニケーション講座」など、様々な活動を行っています。 http://www.coml.gr.jp/


子どもが自立できるようにサポートするのが親の役目

 血友病は生まれた時からの病気ということで、両親は非常に心配でしょうし、「私が産んだから」と自分を責めてしまうこともあるでしょう。親ができることは何でもやってあげたくなってしまうかもしれません。
 また、病気である、ないにかかわらず親がレールを敷くほうが親も子どもも一時的には楽だと思います。でも、それでは子どものできることを奪ってしまうことになり、自分で生きる力が育ちません。病気を持っているのであれば、なおさら自主的であることが生きていく上で欠かせないのではないでしょうか。病気とともに生きるのは子ども自身です。「お母さんは今は手助けできるけど、いつかは自分でできるようにならなくてはいけないので、病気のことや対処法をちゃんと知ってね」と子どもが自立して、病気に向き合えるようにサポートしていくことが親の重要な役目だと思います。

子どもの頃に身につけたものが大人になって生きてくる

 血友病の患者さんの中には高校生くらいになると、親に薬をもらいに行ってもらい、自分はほとんど病院に行かない人がいると聞きました。子どもの頃からずっと病院通いで、「もう病気につきまとわれたくない」という思いから、思春期の一時的にこのような行動をとることもあるでしょう。でも、「病気は自分のものだ」という自覚を早くから持っていれば、やがてきちんと病気に向き合えるようになります。子ども時代に身につけたことが大人になって生きてくるのです。

まずは自覚症状を言えるようにしましょう

 では、子どもが賢い患者になるには、どのようにしたらいいのでしょうか。第一歩は、どのように受診するのかを学ぶことから始まります。痛みや辛さを本当に分かっているのは本人だけですから、幼稚園くらいになったら、自覚症状は本人に言わせてください。病院に行く前に「今日、お医者さんに行ったら一番辛かったことや、今の体の感じを言おうね」と話し、練習してみるといいでしょう。例えば、お腹が痛い時は「なんて先生に伝えるの?」とか、「先生のお話がわからなかったらなんて言うの?」と聞いてみたり。受診中、医師からの質問に子どもが答えず、親の顔を見たら「自分のことでしょう? 自分で言いなさい」と諭す厳しさも時には必要です。将来のために、ぜひ考え、実行してみていただければと思います。

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