海外レポート
台湾の血友病治療

東京から飛行機で3時間程の台湾は、面積は日本の九州とほぼ同様で温暖な気候に恵まれ、親日的な人々が多いことでも知られています。今回は、台北市にある三軍総合病院 血友病治療及び研究センター(血友病センター)〈The Hemophilia Care and Research Center,Tri-Service General Hospital〉の小児科Shin-Nan Cheng先生と血液内科Yeu-Chin Chen 先生に、センターでの治療を中心にご紹介いただきました。

台湾の血友病治療-目次

The Hemophilia Care and Research Center, Tri-Service General Hospital
小児科 Shin-Nan Cheng先生(写真右)
血液内科 Yeu-Chin Chen先生(写真左)

台北市で2番目に大きな血友病センター

 三軍総合病院 血友病治療及び研究センター(血友病センター)は、現在180名を超える血友病患者さんの診療に当たる、台北市で2番目に大きな血友病治療を専門に行う病院です。創設は2003年9月17日。創設記念日には患者さん、当センター全体の医療関係者も含めて盛大なお祝いの会を毎年開催しています。
 当センターは、3つのことを心がけ、運営しています。まず、血友病患者さんのクオリティオブライフの向上を目指し、関節症などの慢性疾患を防ぐために最適な包括的治療を提供すること。また患者さんに教育の場を提供すること。さらに国際的なレベルの研究についても力を入れることです。

関節出血回数を0回に

 我々が目指す血友病の治療のゴールは、年間の関節出血回数を0回にすることです。基本的に小児科の患者さんは1歳6ヵ月から定期補充療法を始めています。それ以前に関節の出血がある患者さんは、もっと早くから定期補充療法を開始しています。包括医療のために当センターでは院内の複数の科、例えば消化器内科、整形外科、感染症科、リハビリテーション科、精神科、口腔外科、歯科などと連携を行い、かつソーシャルワーカーやナースコーディネーターと協力しながら個々の患者さんに適した治療を行っています。
 台湾の血友病患者さんは、感染症を併発している場合が多いのですが、2003年の時点ではHCV陽性の患者さんが特に多く、90.6%に上っていました。しかし、包括的な治療の継続の結果、2005年には60%にまで下がりました。またHIV陽性の患者さんも治療の進歩に伴い、状況が改善しています。
 整形外科との協力も強固で、定期的にぺターソンスコアという関節の評価を実施し、患者さんそれぞれに合った治療やリハビリテーションのプログラムを提供しています。さらに口腔外科とも連携して血友病の患者さんに多い口腔内の出血などにも対応しています。

「学び」と「交流」の勉強会

 患者さんへの教育の場としては、月に1回土曜日の午後に勉強会を開催しています。2種類のプログラムがあり、各関連の診療科の先生方からテーマを決めて医学情報をお話しいただく会と患者さん同士が臨床心理士など交えてお話しをする場です。

国際的な研究にも参加

 国際的な研究としては、台湾全土の薬剤について、当センターの薬剤師とともに分析をしてみたところ、遺伝子組換え型血液凝固因子製剤が全体の92.5%ということがわかりました。また、当センターでは遺伝子解析も実施しており、115名の患者さんに、どのようなタイプの遺伝子異常が原因で血友病を発症しているかについて、調査にご協力いただきました。ロサンゼルス小児病院とも連携し、定期的な電話会議を行い、治療が難しい患者さんの症例について相談するなども行っています。
 2010年には、SNQ(the Symbolfor National Quality)を受賞しました。これは、台湾全土ですべての医療機関が評価され、提供している医療水準の安全性と品質基準について優れた医療機関が毎年表彰されるものです。受賞は、大変うれしく光栄なことでした。  今後も継続して患者さんのため、優れた血友病治療を包括的に提供していきたいと思います。

このページの先頭へ