賢い患者学
〜コミュニケーション力を磨いて、賢い患者になりましょう〜
第1回 賢い患者とは? その1

目次

山口育子さん
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML 理事長
山口育子さん

■PROFILE
山口育子さんプロフィール

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML
Consumer Organization for Medicine & Law
医療を消費者の目で捉えようと、1990年9月に活動をスタートした市民中心のグループ。
患者と医療者が対話と交流の中から、互いに気づき合い、歩み寄ることのできる関係づくりを目指し、電話相談や「患者と医療者のコミュニケーション講座」など、様々な活動を行っています。http://www.coml.gr.jp/

はじめに

突然ですが皆さんはご自分を“賢い患者”だと思っていますか? 自分や家族が最適な治療を受けるためには、“賢い患者”になることが必要です。
このコーナーでは、「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者の主体的な医療への参加を呼びかけているNPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの理事長・山口育子さんに、賢い患者になるための極意、特に医療者との良好なコミュニケーションについて教えていただきます。

賢い患者の5つの定義

 現在は、様々な治療法の中から自身の考え方や生活スタイルなどに合わせて患者さんが主体的に治療法を選択することができるようになりました。医療者もインフォームドコンセントを意識しています。治療法を選択できることは、とてもよいことですが、同時に難しいことでもあるのです。「この中から選べと言われても、どうしたらいいのかわからない」「先生に選んでほしい」と戸惑う方も多いのではないでしょうか?
 でも、病気は人生を大きく左右することや、時には命にかかわることもあります。生活を変化させざるを得ないこともあるかもしれません。とっても大事なことなのに、医療者とはいえ他人にお任せして本当にいいのでしょうか?「一人ひとりが命の主人公」「自分の身体に責任を持つ」。こうしたことを自覚することがとても大切で、賢い患者への第一歩はここから始まります。
 私は賢い患者の定義として、次の5つを考えています。(1)病気を自覚すること(2)自分はどんな医療を受けたいか考えること(3)思いを言葉にして伝えること(4)医療者とのコミュニケーションと協働を大切にすること(5)一人で悩まないこと。今回は、このうち「病気を自覚すること」「自分はどんな医療を受けたいか考えること」についてお話ししましょう。

病気を自覚し、治療法は自分で決める

 病気というものは誰も代わることができません。子どもが病気になって「親だから代わってあげたい」って思っても代われません。時間をかけてもいいので「病気は病気になった人の持ち物」ということを受け入れる、受け止めることが大切です。
 次に「どんな病気か」「どんな治療方法があるのか」を知ることが必要になってきます。治療法が複数示されることもあります。そんな時は、自分がどんな医療を受けたいかということを考え、不明なことや疑問に思ったことを納得いくまで医療者に質問、確認しましょう。「先生には聞きにくくて…」と思われるかもしれません。確かに医療の現場でのコミュニケーションは、日常に比べると少し難しい面はありますが、基本的な心構えやちょっとした工夫を学べば、良好なコミュニケーションを取ることができます。このコーナーでは、今後、医療者とのコミュニケーションのコツもお話ししていく予定です。

レストランもコミュニケーション力を高める練習の場!?

 医療現場でのコミュニケーションは日常生活の応用編。日頃からコミュニケーション力を高める練習をしておきましょう。たとえば、レストランでよくわからないメニューがあったらお店の人に聞いてみるなど。「質問をする」という行為を通じて、自分の思いを伝える訓練ができますし、今まで知らなかった好みの料理を発見することもできるかもしれませんよ!次回は「賢い患者とは? その2」、5つの定義の3〜5を解説していただきます。お楽しみに!

このページの先頭へ