血友病(Hemophilia)

血友病(Hemophilia)とは

血友病は血液が有効な凝塊を作ることができない遺伝性の凝固障害です。凝塊を作れないので内部損傷や大きな外部裂傷はうまく治癒することができません。血友病Aと血友病Bは性に伴う伴性遺伝として遺伝し、ほとんど例外なく男性に現れます。血友病は米国とカナダで男子出生5,000に一人の発症率と推定されています。血友病は世界のあらゆる地域であらゆる人種に起こっています。14,098人のアメリカ人が血友病A(古典的血友病とも呼ばれています)を有し、その人達は第VIII凝固因子がないか、あっても量が不十分です。米国では4,300人が血友病B(クリスマス病とも呼ばれている)を有し、この人達は第IX因子が無いかまたはあっても少量です 1)。カナダでは3,323人が血友病Aと報告され、727人が血友病Bといわれています 1)。日本では5,776人の血友病A患者さんと、1,294人の血友病B患者さんが報告されています 2)

血友病を確認する方法は血液検査により凝固因子濃度を測定することです。もし血友病の家系であることが判っていれば、新生児は検査を受けるべきです。新生児が生まれたとき血友病Aの検査することができます。血液を臍帯から採取します。血友病Bでは、母親の因子が出産前に子供に移行しているので新生児の第IX因子はその後に測った値より高く出ます。後で検査を実施するとその数値は将来もそうであろう第IX因子の数値を示すでしょう。

血友病が軽症、中等症、重症に現れるかは、その人の体内にどれだけ有効な凝固因子があるかにかかっています。血友病の軽症、中等症、重症度は一生涯変化しません。しかし、出血の頻度とタイプはその人がどれだけ健康で活動的かによって変わってきます。同じ家庭内の血友病患者さんは大抵凝固因子のレベルはほぼ同じ程度を示します。

血友病のお子さんを持つご両親へ
お子さんがどのタイプの血友病であるかを知っておくことは大切です。第VIII因子欠損であるのか、第IX因子欠損であるのか、あるいはもっと稀な型の血友病類縁疾患であるのかを確認して下さい。次に、お子さんの血友病の重症度について確認して下さい。血友病患者さんすべてが同じ出血のタイプを示すとは限りません。重症度の程度が出血の状況に影響を与えます。以下の重症度は、凝固因子の活性が血中でどれくらいであるかを示します。

重症血友病 凝固因子1%以下
中等症の血友病 凝固因子1%から5%
軽症の血友病 凝固因子5%から50%
技術的には凝固因子欠損の3段階の違いは凝固因子の活性に関係しており、そのタンパクの量的欠乏の程度に関係しているのではありません。お子さんが実際には正常な量の因子タンパクを持っているかもしれませんが、十分に機能していない場合もあり、これらは通常遺伝的要因によります。

もっと詳しく 「血友病の重症度」

文献:
  • 1)WFH Guidelines for the Management of Hemophilia,3rd edition 2020
  • 2)厚生労働省委託事業 血液凝固異常症全国調査

その他の「カ行」のキーワード

その他の「H」のキーワード

よく見られているキーワード