冊子「Friends」

【血友病体験談】自分でできる?家庭治療・自己注射〜血管の確保

Yes, we can血管確保

私がいれば、落ち着いてくれたので

うちの子は血管がとても見えにくくて、病院でも4-5回刺すことが珍しくなかった。母親が一緒にいると甘えて、よけい暴れる子もいるようですが、うちの子の場合はいれば落ち着いて腕を出しているような子だったので、一緒にいることで乗り切った。子どもによるんでしょうけど。 母(6歳)

足首しか…

幼稚園入園前には自己注射をはじめたのですが、うちの子は本当に入らなくて、そのあとも多分、かなり長い間、家ではほとんど成功しなかったと思います。そのたびに近所の大学病院に行ってやってもらっていました。それでも家庭でやらなくてはいけないと思い、必死でやっていました。しかし、いつまでたっても手・腕はちゃんと血管に刺すことができません。本当にあの時は気持的にも追い詰められて、思い出すのも辛い時期でした。そんなある時に、足首に結構太い血管が見えているのに気付き、やってみたらうまくいきます。それから腕でうまくいかないと、足首に…やがて子どもも足首の成功率が高いと知って、そちらを希望するようなりました。今ではそこしか、家庭でやらせてくれません。心配しているのは、大人の患者さんで足首に自己注射をしている人を聞かないことです。自分でする時は変えなくてはならないのでしょうか。そして、我が子が腕にする怖さを乗り越えて変えることができるのでしょうか。心配です。 母(11歳)

肘しか…

小学校6年の時、母親と同時に習った。最初は自分ではうまくできなくて、母親にしてもらっていたが、少しずつできるようになり、中学二年頃にはほぼ100%自分でやるようになっていました。うてる場所は左肘のあたりしかないけど、もう硬くなってうちやすくなっているし、注射の回数も多くないから困ることはありません。困るまでは、ここでやっていくつもりです。家庭治療をはじめた頃、手の甲にうってとても痛かったのが強烈で、それから肘にしかうてなくなった。その印象が原因だと思う。 本人(30歳)

修羅の顔

注射をはじめてすぐ、子どもの腕はぷくぷくして注射の針はなかなか当たらないし、でも関節が腫れたら、とか頭に出血していたら大変とか、必死でした。初めの一回を外すともう修羅場。子どもはますます泣くし、こっちは焦るし・・・そんな日々を送っていたある日、たまたま主人が早く帰宅していたので、子どもを抑えるのを手伝ってもらっていた時でした。主人がじっと私の顔みて、「お前、すごい怖い顔してるぞ」と一言。「えっ!?」ハッとしました。余裕をまったく失っていた私は、子どもに笑いかけることも、言葉をかけることも忘れて、目を吊り上げ、口元も真一文字に閉め、鼻にはしわを寄せていました。それでは子どももますます不安になって、余計に泣くでしょう。話しかけながらすること、三回失敗したら、それ以上はあきらめて医者に行くこと。この二つを決めてやるようにしました。今は昔の話です。 母(25歳)

ベテランになっても

この年になっても腕にはなかなかうまくできなくて、今は時々足にもしている。暖かい時はいいが寒くなって犬の散歩をして帰ると、うまく入らないし、入れてる途中で抜けたりする。最近はスランプなんで、病院に行った時にはなるべくしてもらうようにしている 本人(60代)

甘え?

息子の自己注射は小4からです。うちの子は血管が細かったので大変だった。成長して今は私並の立派な血管があるんですけど、なんか血管がよく動くみたいで、相変わらず苦労しているみたい。中3ですが、親がいると3〜4回に1回ぐらいは「もう入らない!」と短気を起こして、私にうって欲しいと言ってきます。不在の時は100%一人でうっているみたいなので、その時は緊張してカリカリしてやっているんでしょうかね、親といる時は甘えがでるんですかね。 母(15歳)

カッコ良く見えた

林間学校や社会科見学などの行事も増えてくるし、小4で自己注射の練習のために入院。最初、5-7割ぐらいしか成功しなくて、注射痕がひどく腫れあがったこともあった。それでも2カ月後にはほとんど本人がやるようになりました。スランプも時々はあったが、サマーキャンプの時に大勢が見ている前で成功させた時は誇らしげだった。あのころはまるまるしてて、肘の血管なんか先生でも大変なほど。それを思い切りよく、急角度で刺して血管に入れるから、他のお母さんがびっくりして拍手が起きた。ちょっと我が子ながらカッコ良く見えたかな。自分でやると感覚で血管の場所が分かるみたいです。今は老眼で私もできないし、やらせてくれないでしょうね。でもあの学校嫌いだった子が、今、学校で働いているなんて面白いものね。 母(24歳)

ドクターから一言!
血管確保のコツ

血管確保については、血管が見えやすくて全く苦労のない人もいれば、細くて見えにくい子もいます。また、いつも同じではなく、太ってしまって見えにくくなった子、日焼けして血管が分かりにくくなった子など、状況によっても変化してきます。注射する多い場所は手の甲、肘で、前腕と続き、足首などは希です。同じところに何度も注射をしていると注射ダコができてしまいます。
これに対して「ルートができたようなもので、痛みも少なく、すっと入る」と話す方もいますが、こうした方でもあまり頻繁に刺していると、いわゆる「血管がつぶれた」状態になり、そこに輸注できなくなります。
理想的には3か所程度、注射可能な血管を持っているとよいのですが、簡単にはいかないようで、自分にうてない難しいところを「病院用」、うちやすいところを「自分用」、利き腕を「親用・非常用」として決めている患者は少なくありません。どの場所に注射するのかは、単に見えやすさでは決まりません。本人の利き腕、過去に感じた痛み、輸注量(注.途中でシリンジを交換するようなら肘はうちにくい)等々、様々なことで決まっていくようです。血管確保に苦労しなかった人はほとんどいないのではないでしょうか。

参考:
Friends「自分たちでしよう」編(小島賢一)(バクスター)