冊子「Friends」

【血友病体験談】幼稚園に行こう〜病気の告白

言うべきか、言わざるべきか、それが問題だ!

願書配布の前日に園長、主任の先生に時間を頂き、自作の『病気に関する資料』を用いて、先生方に説明しました。その時に「受け入れて頂けるのであれば願書配布に並びたいと思います。拒否されるのであればここでおっしゃって下さい」と訊きました。「病気に関する怪我の責任は全面親の責任とし、幼稚園にはご迷惑をかけません」園長には、この一言でしたね。その時に「一筆書いて下さい」と言われましたが、いまだに書いていません。(母)

入園後、しばらくして言いました。地元だし、上の子が通っていて、先生方とも関係ができていたので、「そうなんですか」で終わり。もちろん、何かあればすぐに行きますとは宣言しましたが…。(母)

入ってから伝えたと母からは聞いています。「私が行って何とかしますから」と言って安心してもらったそうです。でも実は当時、親が注射をできなかったので、親と一緒に、幼稚園からそのまま病院に直行していました。(30代本人)

病気を伝えて、三つの幼稚園に断られた後は、妻もさすがにヘコんでいました。しかし、くじけずに四つ目でも正直に相談したら、そこはOK。妻はよく頑張りました。(父)

最初に話したときは不安そうで、是非また話合いの機会を持ちますので連絡します、と言われました。しかし、元気な姿を見て安心したのか、四ヶ月たった今でも、何も言ってきません。ほっておいてもいいのかな。(母)

姉の迎えに行くときになるべく連れて行くようにし、元気な姿を見てもらっていました。入園のときは先生方も「そうなんですか」とアッサリ。作戦は成功。(母)

親は事前に話したようですが、病名は言わず、血が止まりにくい体質とだけ説明していたようです。それは小学校でもそうでした。(30代本人)
言ったら「職員会議」で検討するとの返事。後日説明を求められたので、冊子を持参してお話しをし、さらに病院の先生にも電話で説明して頂き、やっと入園することができた感じです。(母)

一番近所の幼稚園に見学の時に打ち明けました。先生は「うちには心臓が悪い子もいるし、喘息の子もいるから、病院の先生がしっかり診てくださってバックアップしてくれれば、いいですよ」って言われました。市内でも老舗の幼稚園なので様々な経験があったみたい。病院も行きつけを教えて、あとは入園時に冊子を持って行って説明しただけ。そこの幼稚園では薬も置いてくれたので、自分は出かけて行って打つだけでした。出先からでも薬を取りに帰らなくて済むのでとても助かりました。(母)

門前払いで断られた幼稚園がありました。以前にも難病の子どもがいて、ひとりの先生が付き切りになって、とても大変な思いをしたことが原因のようです。(母)

思い切って言ってみたら、10年前にも血友病のお子さんを預かった経験があるそうで、「慣れてますから大丈夫ですよ」との返事。何も問題はありませんでした。ほんと、先輩のおかげです。(母)

患者会では、幼稚園は断られる覚悟で当たらなくては駄目と聞いていましたが「何かあったら連絡すればいいし、それまでは普通にしてていいんでしょ」ってあっさりOKで入園できました。(母)

今の幼稚園は兄が行っていたので、先生は弟の病気のことも知っていました。お試し入園に通い入園の意思を伝え、冊子を持参して説明しました。“近くにすぐ行ける病院を探しておいてほしい”“子ども同士のトラブル、事故時に責任を問わない”という約束で入園できました。(母)

スタッフから一言!
説明の仕方を考えよう

言ってしまえば断られる危険性があるし、しかし、言わないで入園させて怪我をしたり、後で退園を言われたりするのも怖い。今も昔もお母さんがとても悩むところです。
治療が進んだ今では、事前に話して入園するのが一般的になっていますが、出血エピソードの少ない方や実際に見て理解してもらいたいと考える方は、入園後にお話することもあります。
近頃は、初心者お母さんや先生に向けて血友病を説明する冊子も充実してきました。主治医の先生にお願いして、それらを入手してみるのも一案です。それが難しい場合は、本冊子の最後に紹介されているサイトにアクセスしてみてください。また、主治医の先生から幼稚園・保育園スタッフに説明してもらえるように根回ししておくのも良い手段です。

先輩ママから一言!
公園デビューの体験談

はじめはさほど意識していませんでした。まあ、仲良くなったら、周りに言えばいいぐらいに思っていました。実際、仲良くなったお母さんに「実はうちの子、血友病で」って、ふと話したんです。分かってもらっていた方がいいかなぐらいのつもりでした。その人は『それは大変ですね』と返事をされたと思います。でも、翌日からそのお母さんは、公園にパッタリ遊びに来なくなってしまいました。何が起きたのか分かりません。感染する病気とでも思われたのでしょうか。他所で見かけても挨拶もそこそこに行かれるので話をする雰囲気ではありません。こんなに避けられたことがショックで気分が暗くなり、私も徐々に昼間の公園で遊ばなくなり、家の中で子どもとひっそり遊ぶようになりました。黄昏の人気のなくなった頃を見計らって、公園に行って親子二人で遊ぶのが、たまの日課。唯一の外遊びの時間です。
そんなある日、暗くなった公園で遊んでいると女の子を連れた母子連れがきました。あわてて帰ろうとする私たちに『こんばんは』と声をかけてくれたのです。まあ、うす暗いし、家族以外の人と話をしていなかった私は、久しぶりに話をした気がします。もちろん他愛のない話で病気のことなど言いません。これをきっかけに時々、会えば話すようになり、気が合ったのか先方のお家にも御邪魔するぐらいに親しくなっていきました。
ちなみに我が家は、テーブルの足にエアキャップが巻いてあったり、冷蔵庫の中に製剤があったりして、何か気付かれそうでとても呼ぶ気にはなりませんでした。ところがある日、相手のお宅でおもちゃの取り合いをしていた息子は、指を噛まれてしまいました。直ぐにも腫れてくるのではないかとあまりにも慌てる私の様子に、とうとう『何かあるの?』って訊かれてしまったのです。覚悟を決めました。
“ここで話してお付き合いが切れても仕方がない。”私は息子の病気を打ち明けました。頭が白くなっていた私は、相手が何と返事をされたか、その日、どうやって帰宅したのかはよく憶えていません。でも、今度は受け入れてもらえたのです。その方とは今でも夫婦共々、仲良くさせていただいています。あの時、声をかけてもらわなければ、知りあうこともなかったでしょうし、人に対して明るい気持ちが持てるようになったかどうか分かりません。本当に、本当に感謝しています。

参考:
Friends「幼稚園に行こう」編(小島賢一)(バクスター)