血友病基礎講座

血友病の合併症

血友病の合併症

  • 1.ウイルス感染症
    過去の非加熱濃縮製剤投与によるB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの感染。
    現在(1986年以降)は加熱などの処理によりこれらのウイルスの感染の危険性はありません。
  • 2.インヒビター(抗凝固因子抗体)の発生
    投与した凝固因子を中和して効果を失わせる物質(インヒビター)ができます。これができた場合は、通常の第VIII(IX)因子補充療法が効かなくなります。

病原体・異物の認識

病原体・異物の認識【図1】

私たちの体には、生まれつき体の中になかったもの(異物や病原体)が体に侵入してきた時に、これを排除して体を守る働きが備わっています(免疫)。


病原体・異物の認識【図2】

一部の血友病の患者さんには、輸注された凝固因子を異物として体が認識し、これを排除するための物質(抗体)ができてしまうことがあります。

これをインヒビターと呼び、インヒビターができた場合は、輸注した凝固因子がインヒビターによって中和され、輸注効果が減少・消失します。

このようなインヒビターが発生する頻度については全患者の10〜15%程度が一般的と考えられていました。

近年、このようなインヒビターの他に、従来は気付かれなかった、弱いインヒビターや一時的に出現した後自然に消滅するインヒビタ一が存在することが判明してきました。

これらのインヒビターを含めると、インヒビター発生率は血友病患者の約20〜30%程度と言われています。

使用する凝固因子製剤の種類によって、インヒビターの発生率に明らかな差はないと考えられています。

血友病インヒビターの止血管理

【バイパス療法】
VIII(IX)因子以外の凝固因子を活性化させることによって、血液を固まらせる治療法です。
ただし、その効果は不十分な場合もあります。

インヒビターを持つ患者さんの止血管理は、バイパス療法が主体です。

この治療法は、主に活性化VII因子を含んだ凝固因子製剤を用いて、VIII(IX)因子以外の凝固因子(X因子以降)を直接活性化させることにより、止血を促す治療法です。

バイパス療法に使用される製剤には、活性化VII因子だけを精製した製剤と、活性化VII因子とともに他の凝固因子も含有している活性化プロトロンビン複合体製剤があります。

インヒビターが発生した場合の治療は、製剤の選択や治療効果の判定が難しいので、できれば専門の医師にご相談ください。

参考:
血友病基礎講座(兵庫医科大学 日笠 聡)(バクスター)