血友病基礎講座

血友病とは

血が止まりにくい病気・血友病

血管の破れた部分から血液が流れ出ている状態を「出血」といいます。
出血を止めるためには、
・血管(堤防のコンクリート)、
・血小板(ブロック)、
・凝固因子(セメント)
の3つの大きな要素が必要になります。
参考:出血から血が止まる(止血)まで(血友病基礎講座)

血友病は、この3つの要素のうち、凝固因子が生まれつき不足している病気(遺伝病)です。
血液凝固因子は、約12種類ありますが、血友病は第VIII因子あるいは第IX因子が不足しています。

血友病Aと血友病B

血友病の代表的なタイプは、「血友病A」「血友病B」があります。
「血友病A」の人は血液の「凝固因子」の中で、第VIII因子が低下しているか欠乏しています。
「血友病B」の人は第IX因子が低下しているか欠乏しています。

第VIII因子が不足しているもの:血友病A
第IX因子が不足しているもの:血友病B

凝固因子レベルで決まる血友病の重症度

血友病は、X染色体に存在する第VIII(IX)因子遺伝子の異常によって、凝固因子が生まれつき不足していることが原因です。
血友病は第VIII(IX)因子の働き(活性)がどの程度あるかを示す、「凝固因子レベル」によって重症度が決まります。凝固因子レベルはパーセントで表示され、正常な凝固因子レベルは50〜150%です。血友病患者さんの場合、凝固因子レベルは正常値よりずっと低くなります。重症の血友病患者さんでは1%未満、中等症は1〜5%未満、軽症では5%以上と幅があります。

【血友病の重症度分類】
重症型:凝固因子活性<1%
中等症型:凝固因子活性1〜5%
軽症型:凝固因子活性>5%

詳しく見る 血友病ってどんな病気?(タイプや重症度)

血友病Aの罹患率は、1人/男子1万人、血友病Bは、およそその1/5です。

血友病(血友病A、血友病Bともに)の重症度は不足している因子の量(活性)によって、重症型、中等症型、軽症型に分類されます。
日本では、平成25年5月31日現在、
血友病A:4,761人、血友病B:1,008人と報告されています。(平成25年度血液凝固異常症全国調査)

血友病の歴史

血友病(2)

近世ヨーロッパでは、1853年に英国のビクトリア女王の第8王子として出生したレオポルドが血友病であり、王女2人が血友病保因者であったことから、その王女が嫁いだヨーロッパ各王家(プロシア、スペイン、ロシア)に血友病が伝わりました。
このため血友病はRoyal diseaseとも呼ばれていました。

血友病の遺伝形式(X連鎖劣性遺伝)

血友病の遺伝形式(X連鎖劣性遺伝)

血友病男性が父親(X'Y)、健常女性が母親(XX)の場合(図左)、男児は母親からX染色体1つ(X)が、父親からY染色体が受け継がれるため、すべて健常男児となります。女児の場合は母親からX染色体1つ(X)が、父親からもう一つ(X')が受け継がれるため、すべて保因者となります。

保因者(X'X)の女性が男児を出産した場合(図右)、その男児は母親からX染色体を1つ(XまたはX')、父親からY染色体を1つ受け継ぐため、母親から受け継ぐX染色体がX'の方であれば血友病(X'Y)となります。

逆に母親から受け継ぐX染色体がXの方であれば健常な男児(XY)となり、その確率は50%となります。

保因者の女性が女児を出産した場合、その女児は母親からX染色体を1つ(XまたはX')、父親からX染色体を1つ(X)受け継ぐため、母親から受け継ぐX染色体がX'の方であれば保因者(X'X)となります。

逆に母親から受け継ぐX染色体がXの方であれば健常な女児(XX)となり、その確率もやはり50%となります。

保因者

【確定保因者】

  • 1.血友病男性を父親に持つ女子
  • 2.2人以上の血友病患児を有する母親
  • 3.1人以上の血友病患児と近親者に血友病患者を有する母親

【推定保因者】

  • 1.1人の血友病患児を有する母親
  • 2.母系に血友病患児を有する女性
  • 3.兄弟に血友病患児を有する姉妹

血友病の遺伝子X'を持つ女性を保因者と呼びます。
血友病男性を父親に持つ女子、2人以上の血友病患児を有する母親、1人以上の血友病患児と近親者に血友病患者を有する母親は、この血友病の遺伝子X'を受け継いでいることが確実なので、確定保因者と呼ばれます。

血友病患者の7割は、保因者の母親から生まれています。
しかし、残りの3割は、母親は保因者ではなく、突然変異で血友病となった方々です。

ですから、血友病患児を1人だけ有する母親は保因者であるかどうか確定できません。また、母系に血友病患児を有する女性や、兄弟に血友病患児を有する姉妹も、血友病の遺伝子をもっている可能性はあるものの、確実とはいえません。

このような、血友病の遺伝子を持っている可能性がある方々は、推定保因者と呼ばれます。

結婚や妊娠の際に、遺伝について詳しく知りたくなった場合は、主治医に相談してみてください。

参考:
血友病基礎講座(兵庫医科大学 日笠 聡)(バクスター)