(血友病基礎講座)出血から血が止まる(止血)まで

目次(血友病基礎講座)出血から血が止まる(止血)まで

出血から止血まで

出血は、血管の破れた部分から血液が流れ出ている状態です。

出血から止血まで【図1】

この出血から止血までの流れを、堤防が壊れて洪水になった後からそれを修復するまでに例えてみると、以下のようになります。

出血から止血まで【図2】
▲血管が破れたところを血小板がブロックします。

堤防(血管)が壊れて、そこから水(血液)が流れ出ていると、それを止めるために堤防(血管)の破れたところにブロックを積み重ね、流れ出る水(血液)の量を減らそうとします。このブロックの働きをするのが血小板です。

しかし、ブロック(血小板)の隙間から水(血液)がにじみ出したり、圧力がかかった時には積み重ねたブロックが崩れて再び水(血液)があふれ出したりします。
そこでブロックの隙間を埋めて強く固める必要があります。
このブロック(血小板)の隙間を埋めて固めるためのセメントの役割をするのが、凝固因子と呼ばれるタンパク質です。

出血から止血まで【図3】
▲血管が破れたところを血小板がブロック、その隙間を凝固因子というセメントで固めて止血します。

ブロック(血小板)の隙間をセメント(凝固因子)で固めてしまえば、少しぐらい圧力がかかっても、再び水(血液)があふれ出ることはありません。

出血から止血まで【図4】

しかし、この状態はあくまで応急処置が終わっただけで、堤防が元通りになった訳ではありません。強い圧力がかかったりすれば、ブロック塀は壊れてしまいます。
血管自身が元通りに修復しない限り、再出血する可能性が残っていることになります。
血管が完全に修復した時点を、完全な止血と考える方が良いと思います。

止血(出血を止めるためには)

出血を止めるためには【血管】【血小板】【凝固因子】の3つの要素が不可欠

出血を止めるためには、
・血管(堤防のコンクリート)
・血小板(ブロック)
・凝固因子(セメント)
の3つの大きな要素が必要になります。
どれか一つでも働きが十分でない場合、何らかの出血症状が出現します。
血友病では、この3つの要素のうち、凝固因子が十分でないために様々な出血症状が起こります。

参考:
血友病基礎講座(兵庫医科大学 日笠 聡)