中等度出血が起こったら

中等度出血は重症より程度の軽い出血です。
中等度出血が起こった場合、その部位を十分に観察し、出血がひどくならないか、ちゃんと治っていくかどうかを確認してください。
出血が止まらない場合、または質問がある場合は主治医か血友病治療施設に相談してください。
凝固因子の補充が必要になる場合もあります。

関節内出血

お子さんが成長してより活動的になると、関節内出血を経験します。
関節内出血はどの関節でも起こりますが、頻繁に起こるのは肘、膝、足首です。
関節が血液でいっぱいになると、圧迫されて痛みが生じ、治療しないと関節はもう二度と元に戻らないほどの損傷を受ける可能性があります。
関節の出血が少量の時は、出血があるかどうか分からないことがあるので、他の症状がないかどうかに注意してください。

関節内出血の症状

  • はっきりした理由がないのにぐずついたり泣いたりする。
    (赤ちゃんの場合:お腹はすいていない、のどは渇いていない、お腹も痛くない、オムツもぬれていない、寒くも暑くもないのに泣いたりする)
  • 関節を自由に動かすことができない。
    (小さいお子さんが関節を伸ばさなかったり、体重をかけることができなかったり、腕や足を使わなかったりする場合は関節内出血を起こしていることがあります)
  • 片方の関節(出血のある関節)が、もう一方に比べてより温かく感じる。
  • 片方の関節(出血のある関節)が、もう一方に比べてはれている。

関節内出血時の対応

  • 関節内出血が疑われる時はできるだけ早く治療をすることが大切です。
    関節内出血が疑われる時には主治医か血友病治療施設に連絡してください。
  • 出血した部位に対しては、
    Rest(安静)Ice(冷却)Compression(圧迫)Elevation(挙上)のRICEを行います。
    【安静】
    患部と全身を動かさずに休ませてください。
    【冷却】
    冷却剤(アイスノン等)をあててください(ない場合には冷えたタオルで代用できます)。冷却剤(アイスノン等)で痛みは和らぎますが、出血は止まりません。氷は直接皮膚に接触させないで、タオルに巻いてください。
    【圧迫】
    出血部位をガーゼやタオルをあてて適度に圧迫してください。
    【拳上】
    関節を高い位置に保ち、楽な姿勢にしてください。
  • 早く治療すれば痛みは和らいできます。

参考:出血をしたとき製剤の注射以外の応急手当て

筋肉内出血

筋肉を打ったりくじいたりすると出血が起こります。
重症の血友病の患者さんでは、腕や足の筋肉の出血(筋肉内出血)が理由もないのに起こることがあります。
筋肉内の出血では、多量の出血が起こる可能性があります。
出血が進むと、神経や血管を圧迫して重篤な障害が起こることもあります。そのような場合にはただちに治療することがとても大切です。

筋肉内出血の症状

  • はっきりした理由がないのにぐずついたり泣いたりする。
  • 腕や足を動かすのが大変そうにみえる(小さいお子さんでは歩こうとせずにハイハイをすることがあります。歩ける場合でも歩き方がおかしいことがあります)。
  • もう片方の腕や足と比べて、周辺がはれている。
  • 他の部分と比べて温かく感じられる。

筋肉内出血時の対応

  • 主治医に連絡をしてください。凝固因子の補充が必要です。
  • 冷却剤(アイスノン等)で痛みは和らぎますが、出血は止まりません。
  • アスピリン等(アセチルサリチル酸)は血を止まりにくくさせる働きがあるため、絶対に与えないでください。

皮下出血

皮下出血」とは皮膚の下で起こる出血のことです。
中心部が膨らんだり、たんこぶになったりする皮下出血は、赤ちゃんが血友病である最初のしるしとなります。
こうした皮下出血は皮下血腫といいます。一般的に皮下出血だけでは治療の必要はありません。この出血で大切な部位は影響を受けないからです。

血友病の赤ちゃんは、生後数ヵ月では行動が制限されるためにあまり問題になりません。
赤ちゃんがハイハイしたり歩いたりし始めると、つまずいたりして小さなたんこぶや皮下出血が絶えません。
もし赤ちゃんの皮下出血がひどくなったり、不快感を示したりするようであれば、主治医か血友病治療施設に連絡をしてください。

皮下出血の症状

  • 転んだりぶつけたりしたところに、いわゆるあざができる(何もしなくてもあざができることもあります)。

皮下出血時の対応

あざの量を最小限に抑えるため、お子さんのズボンに膝あてをし、テーブルの角や家の中にある固い部分にあて物をつけておきましょう。
ベビーベッドの内側に衝撃を吸収するためのあてものをつけて、あざを防止しましょう。
冷却剤(アイスノン等)で冷やして痛み、はれ、変色を和らげましょう。
痛みを和らげ、熱を下げるには通常アセトアミノフェンを成分とする解熱鎮痛剤を与えてください。添付文書についている使用方法に従い、赤ちゃんの年齢と体重に見合った量の薬を与えてください。詳しくは主治医か血友病治療施設に連絡してください。

皮下出血について覚えておいてほしいこと

皮下出血は治ってくると色が変わります。
最初は青色か紫色で、消えかかると緑色、茶色、黄色になります。皮下出血が完全に消えるのに2週間ほどかかります。
しかし、皮下出血が大きくなったり黒くなったりしたら治療が必要な場合があります。
また、血友病の赤ちゃんは、抱っこしたり触ったりしただけで皮下出血を起こすことがあります。
けれども赤ちゃんを抱っこするのをやめないでください。
赤ちゃんは皆抱っこされたがっています。
赤ちゃんがハイハイし、歩き、立ち上がるようになると、腕、足、肘、膝、顔、お尻などに皮下出血ができます。胴体の下にやさしく手や腕をそえて“すくいあげるように”赤ちゃんを抱き上げてください。
よちよち歩きの赤ちゃんは腕や足にたくさんのあざができます。
通常、問題とはならないので赤ちゃんを自由に動き回らせ、成長させてあげましょう。
皮下出血は時間が経つにつれて小さくなります。完全に消えるまで2週間程度かかるでしょう(あざの周りをペンで囲って、小さくなっているかどうか見る方法もあります)

額の出血斑は時間とともに下降します。時間とともに目の周りに出血斑の色がついていくこともよくあります。

用語:
【皮下出血】皮下組織の損傷で、皮膚は破れていません。皮下出血は黒ずんだ色に見えます。

参考:
お子さんが血友病と診断されたご家族のために(小林正夫)(バクスター)