どのような治療をしますか? 血友病の補充療法と家庭治療

血友病の治療方法と薬について

血友病の治療は、足りない凝固因子をお子さんに補充することです。これは「凝固因子補充療法」、または凝固因子注射といい、凝固因子を血管に注射します。このように、凝固因子が直接血液の中に入ることでフィブリン凝塊を形成するのを助け、出血が止まるようにします。この治療法ではお子さんの必要とする凝固因子を一時的に補充することになります。

凝固因子補充療法には、体育の授業や遠足、運動会などのイベントの前に凝固因子を投与して出血を未然に防ぐ予備的補充療法や、定期的に注射することで凝固因子レベルを自然に出血が起こらない程度に保つ定期補充療法があります。定期補充療法は主に重症と中等症のお子さんが対象となります。

表:定期補充療法の定義

定期補充療法 定義
一次定期補充療法 2歳未満およびあきらかな関節内出血のみられる前、あるいは、年齢にかかわりなく関節が損傷する前に開始して、成人になるまで長期間、定期的に補充療法を行う治療法(後者の場合、過去1回以下の関節内出血の時点で開始する)。
二次定期補充療法 一次定期補充療法の基準を満たさないが、成人になるまで長期間、定期的に補充療法を行う治療法。

(白幡 聡他 みんなに役立つ血友病の基礎と臨床 医薬ジャーナル社2009より一部改変)

血友病の家庭治療について

1983年から、血友病の患者さんやご家族が、主治医から製剤の保管や溶解方法、注射のしかたについて指導を受けて練習することで、家庭で凝固因子の注射をすることができるようになりました。このことで、出血に対して早めに対応できるようになり、血友病の患者さんやご家族の学校生活や社会生活の質(QOL)の向上に役立っています。

しかし、家庭治療は、製剤の溶解方法、注射のしかた、副作用のチェック、および片づけについてすべてにわたり安全で確実なやり方が要求されます。それには、チェックリストなどを利用して繰り返し練習をするしかありません。また出血や投与の記録は、カルテに代わる大切なものと考えられ、患者さんやご家族が記載する必要があります。製剤を投与する投与量や時期、投与回数についても判断する知識を持たなくてはなりません。

お子さんに注射をすることはとても難しいと思うことでしょう。しかし、いつかは皆ができるようになります。あせらず、肩の力を抜いて練習に努めてください。家庭治療の許可がおりて、注射が行えるようになっても、特に初期のころは失敗することもあり、注射の成功率にも波があります。失敗が重なる時には初期の方法を思い出し、必要でしたら病院に通い、やり方を見直すとよいでしょう。医師も看護師も最初は全く同じで、失敗を繰り返しながら上達しています。出血や投与の記録は、必ず病院に持参し、主治医に見せてください。迷うことがあったら必ず質問をしましょう。家庭治療を始めても、判断に迷う場合には、主治医や看護師などの医療スタッフと連絡を取り合い、一緒に考えていきましょう。

※用語:
【凝固因子補充療法】患者さんの、欠乏している凝固因子を体内に投与すること。

参考:
お子さんが血友病と診断されたご家族のために(小林正夫)(バクスター)